他人以上 ページ27
R「別に、俺あんたの事嫌いじゃないけど。」
随分前に、掴まれた手首は解放されていた。
蓮さんは一度に色んな動作を出来るタイプじゃないらしく、
私の言った事を飲み込んで考えている内に、力は段々と弱まっていて。
・・自分から放せって言った癖に、
何でちょっと、残念とか思ってるんだろう。
もう今だったら、逃げようと思えば逃げられるのに。
一瞬思い浮かんだ、全くもって解釈違いな欲に気を取られて、
蓮さんの言葉に反応が遅れてしまう。
A「えっ？！」
R「・・何？」
A「い、今・・嫌いじゃないって言った？」
R「・・・。」
A「えっ・・ほ、本当？」
ばつが悪そうに、今度は蓮さんが目を逸らす。
さっきまで卑屈になっていた自分が嘘みたいに、
本来の姿を取り戻していく気がした。
・・むしろ、何でこんなに喜んでんだろ。
よくよく考えたら、蓮さんより、
私が蓮さんを嫌いになる要素は、たくさんあったはずなのに。
突然キスされて死にかけた事、
冷たくあしらわれた事、唯さんへの態度との差が異様に激しい事。
普段の私だったら、
この人とは関わりたくない！と、避けてしまうきっかけになる出来事ばかり。
だけど何故か、蓮さんには好かれたいと思っている自分が居るのだ。
R「・・嫌いになれないでしょ。」
A「え？」
R「作ったものあんな無邪気に褒められたら。」
A「・・蓮さ、」
R「オムライス。あの時、もっかい食べたいって言ってくれたし。」
A「で、デレてくれてる？」
R「・・うざ。」
ぷいっと顔を逸らすと、さらさらの黒髪が揺れた。
・・照れた時耳が赤くなるのは、
顔逸らした所で、その髪の長さじゃ隠せないって分かってるのかな。
思いがけないエピソードが蓮さんの口から出て来て、
特に他意無く料理を褒めた自分が、とても誇らしく思えた。
A「じゃあ！じゃあさ、これからは私にも優しくしてくれる？」
R「・・は？」
A「・・え、そういう事じゃないの？嫌いじゃないって。」
R「別に好きでもないけど。」
A「え？」
R「それに、優しければ良いってもんでもないでしょ。」
―――・・俺は好きになったら、絶対優しくなんて出来ない。
蓮さんのその言葉に、ここには居ないあの人を思い出す。
翔太くんも、同じ事言ってた。
好きだから優しくする・・
やっぱりこれって、幼稚な考えなのかな。
まだまだ、何もかも分からないことだらけだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2062人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瑠璃 - 面白いです！続きをまっています！更新がんばってください (9月12日 5時) (
レス) @page50 id: 8b59f5379b (このIDを非表示/違反報告)
綾乃(プロフ) - 更新待ってます、、、 (2023年3月14日 1時) (レス) @page50 id: f5add56306 (このIDを非表示/違反報告)
ぴかちゅう - もう更新されませんか？ (2023年3月4日 23時) (レス) @page50 id: b911419e01 (このIDを非表示/違反報告)
うみ(プロフ) - ドラマ見てるみたいで楽しく読ませて頂きました！続きが気になりすぎますᰔᩚ ᥫᩣ (2023年1月22日 1時) (レス) id: 086f2092e1 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ(プロフ) - はじめまして。続きが楽しみで、読み返してしまいます。更新を楽しみにしています。 (2022年8月30日 13時) (レス) id: 1cdd29dcae (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：xion | 作成日時：2022年5月11日 13時
