暴風前夜 ページ21
結局蓮さんが運んで来てくれたのは、
康介さんお手製のボロネーゼだった。
食えれば何でも、なんて言ってた割に、
店1番の人気料理頼んでくれてるし。
蓮さんは相も変わらず仏頂面で、
ニヤニヤを隠せない私に、冷たく一言。
R「・・キモ。」
昨日も同じ事言われたけど、今日は穏便に言い返さないでいられる。
・・さっきは、あんな照れた顔してた癖に。
へらへら笑ってパスタを巻き付けた。
S「―――美味そうなの食ってんじゃん。」
いつの間に帰って来ていたのか、
カウンターの左隣に、突然現れた翔太くんが座る。
朝はスーツで出かけていたみたいだけど、
この時間に帰って来るって事は、普通のサラリーマンなのかな？
顔と言い、性格と言い、何となく浮世離れしてる気がするから、
働いているイメージが沸かない。
そんな想像をしている間にも、私が食べているボロネーゼの皿に、
翔太くんは置いてあったフォークでちょっかいを掛けてくる。
A「ちょっと！」
S「腹減った・・俺も同じの頼む。」
A「それなら尚更手出さないで下さい！」
S「人のもんって、何か美味そうに見えんのよ。」
くだらない会話が続く。
昨日会ったばかりで、特にこの人とは気まずくなる瞬間ばかりだったけど、
全く緊張しないのが不思議だ。
今度は美幸さんが水とメニューを持って来てくれて、
面白そうに私達へ笑いかける。
M「珍しいじゃない、翔太が下りてくるなんて。」
S「まぁね。たまには。」
M「で？どういう風の吹き回し？」
S「何が？」
M「何がって・・まぁ良いわ、Aさんと一緒で良いの？」
S「ん−・・いや、カルボナーラで！」
M「・・面倒なの頼むのね。」
S「よろしくー。」
軽快に交わされるやり取りが心地良い。
やっぱ仲良しなんだなぁ・・少し羨ましい。
美幸さんが足早に去った後、
翔太くんは、ぐるぐると首と肩を回し出す。
可愛い顔に見合わないその動作に、
思わずちょっと笑ってしまった。
A「凝ってるんですか？」
S「何、揉んでくれんの？」
A「嫌ですけど・・。」
S「は？期待させんな。」
A「むしろこれで期待する翔太くんが謎・・。」
S「うっざ！」
言葉尻はキツいけど、表情は柔らかい。
相変わらずフォークは私の皿に伸びていて、
ボロネーゼも諦めていない様だ。
カウンターの端で攻防戦を繰り広げる私達を、
あの子があんな目で見ているなんて、この時はまだ知らない。
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瑠璃 - 面白いです！続きをまっています！更新がんばってください (9月12日 5時) (
レス) @page50 id: 8b59f5379b (このIDを非表示/違反報告)
綾乃(プロフ) - 更新待ってます、、、 (2023年3月14日 1時) (レス) @page50 id: f5add56306 (このIDを非表示/違反報告)
ぴかちゅう - もう更新されませんか？ (2023年3月4日 23時) (レス) @page50 id: b911419e01 (このIDを非表示/違反報告)
うみ(プロフ) - ドラマ見てるみたいで楽しく読ませて頂きました！続きが気になりすぎますᰔᩚ ᥫᩣ (2023年1月22日 1時) (レス) id: 086f2092e1 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ(プロフ) - はじめまして。続きが楽しみで、読み返してしまいます。更新を楽しみにしています。 (2022年8月30日 13時) (レス) id: 1cdd29dcae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：xion | 作成日時：2022年5月11日 13時
