翔太くん ページ14
S「翔太くん。」
・・これは、本気で言ってるのかどうなのか。
顔は至って変わらないし、
真っ直ぐ私を射抜く瞳にも、淀みは無い。
5歳児みたくきゃんきゃん騒いでいた先程が、まるで嘘だった様な素振りだ。
A「しょ・・翔太、くん？」
S「年は？お前いくつ？」
A「に、24歳です。今年で25になります。」
S「やっぱ年下じゃん。なら翔太くんだわ。」
A「はぁ・・。」
よく分からない理論だけど、翔太くんの中では確固たるものらしい。
満足そうに年上マウントを取ると、
頬杖を突いていた手を解いて、机に突っ伏す。
そのまま顔だけ私に向け、唇の端を悪戯にぐっと上げた。
S「じゃあ、Aはー・・しばらく、俺と蓮、男2人と一緒に生活するって訳だ。」
A「えっ？」
S「女の子1人で大丈夫？俺自信無いんだけど。」
A「な・・何が、ですか？」
S「さっき裸見ちゃったし。・・これからもああいうこと、あるかもよ？」
A「・・っ？！」
S「うわ、顔赤。」
待って、絶対揶揄われてる。
さっき以上に固まる私に、翔太くんは全くニヤニヤが隠せてない。
―――戻って来て、ウブな5歳児！！
思わず数歩後ずさると、
さっきから何も言わないもう1人の同居人が、眉をひそめたのが視界に入った。
R「・・俺戻るから。後は、2人で仲良くやってて。」
A「えっ？！」
S「悪かったな、蓮。マジで助かった。お前が居なかったら、確実に警察突き出してたわ。」
R「別に俺はそれでも良かったけど。」
A「ちょっと！」
R「じゃあまた後でね、翔太くん。・・と、露出狂の不審者さん。」
A「だから違うって！」
蓮さんは騒がしくなってきた1階に気付いたのか、
壁から背中を離して、すたすたとリビングを出て行ってしまう。
真横を通り過ぎる瞬間にふわっと香るのはきっと、
使ってる柔軟剤と・・少し、デミグラスの匂い。
この騒ぎですっかり忘れていたあのキスを、思い出すには十分だった。
お風呂上がりでただでさえ火照る体が、さらに熱を帯びた気がする。
S「・・突っ立ってないで、こっち来れば？」
一難去って、また一難。
蓮さんが居なくなっても、今度は翔太くん。
・・さすが、蓮さんのいとこなだけある。
綺麗とかそういう言葉はちょっと違う気がするけど、
間違いなくこの人も『そっち側』の世界の人。
塩顔？めちゃくちゃモテそう。
なんか今日は、まともな笑顔が作れない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2062人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瑠璃 - 面白いです！続きをまっています！更新がんばってください (9月12日 5時) (
レス) @page50 id: 8b59f5379b (このIDを非表示/違反報告)
綾乃(プロフ) - 更新待ってます、、、 (2023年3月14日 1時) (レス) @page50 id: f5add56306 (このIDを非表示/違反報告)
ぴかちゅう - もう更新されませんか？ (2023年3月4日 23時) (レス) @page50 id: b911419e01 (このIDを非表示/違反報告)
うみ(プロフ) - ドラマ見てるみたいで楽しく読ませて頂きました！続きが気になりすぎますᰔᩚ ᥫᩣ (2023年1月22日 1時) (レス) id: 086f2092e1 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ(プロフ) - はじめまして。続きが楽しみで、読み返してしまいます。更新を楽しみにしています。 (2022年8月30日 13時) (レス) id: 1cdd29dcae (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：xion | 作成日時：2022年5月11日 13時
