知らねば仏、見ぬが秘事 (ページ3)

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3話たびのもくてきページ3

今日も私達の旅は続く。
それは、リンクさんが目的を持って旅をしているからだ。

「その、『ナビィ』って"妖精"が、リンクさんの探してるともだち…なんですか？」

「……ああ、そうか。」
Aはまだ知らなかったか。
リンクは遠いどこかを見つめながら重く静かに言った。

随分前に『どこかへ行ってしまったともだちを探しながら旅をしている』と一度聞いたことがあった。

(だけど、まさかなぁ……。)

少し前の出来事を思い出す。

森の中を突き進む道中で、私達は宙を不規則に漂う赤い何かを見かけた。
一瞬ちらっと見えただけだから、見間違いかな？と呑気に考えていたのだが、隣で歩いていたリンクは違った。むしろ、霧の奥で微かに見えたソレを見るなり駆け出してしまったのだ。

慌てて私もエポナと一緒に追いかけると、確かにソレは見間違いではなく―赤っぽく光る丸い球体に二対の翅が生えている小さな"何か"だった。

度々遭遇する魔物とはまた違うモノらしく、リンクからは警戒心を一切感じない。

「―この辺りで君と同じ青い妖精を見なかった？ナビィって子で、俺のともだちなんだ。」

そんな尋ねる内容からソレがこの世界でいう"妖精"で、この子は彼が以前話していた『ともだち』とはまた別の個体の妖精であることを…、黙って聞いているうちに今まで私が勘違いしていたことがわかる。

どうりでよく人気のない森の中を歩いていたわけだ。

―にしても、…これが、…妖精。とその赤い球体を凝視していたが、しばらくするとその球体に「もう、ナニよ！ジロジロ見ないで！」と怒られてしまった。

強気な発言に驚いたが、よくよく考えてみればあっちからしてみればじっくり値踏みされる心地だったのだろう。
…悪いことをしてしまったと反省していると、すぐ隣にいたリンクは珍しくクスリと笑っていた。

私が肘で彼を小突いても、笑顔のままだ。
…ひどい。

―結局有力な手がかりは掴めなかったらしく、数分も経たないうちにその場をあとにすることになり、冒頭に戻る。

『ナビィ』について話す彼の姿は、どことなく嬉しそうにみえる。

親しいに種族は関係ないのだろう。

「…会ってみたいな。」

私の空っぽの頭に「ナビィ」を刻んでいると、…なぜかリンクは困惑した顔で私を見ていた。
思わずギョッとしてしまう。

「どうしたんですか？」

「………なんでもない。」

「…。」

彼は嘘つきだ。

急に手を絡めて身を寄せてきたのに、なんでもないなんて無理がある。