34話 追憶の紫煙�� ページ37
*Aside*
“お前にまで居なくなられたら、俺は……ッ”
あの時の陣平の言葉が、忘れられない。
『お前にまで居なくなられたら』
その言葉は、私の胸を突き刺す刃物となるのには充分過ぎた。
研二……親友を失った陣平にとって、それは１番辛い言葉なはずだったから。
……あれは、今から７年前。
11月７日の事だった。
“『もしもし、陣？どうしたの？』”
『A……』
“『陣？何かあったの…？』”
突然の、陣平からの電話。
彼の様子がおかしくて、ただならぬ事が起こったんだと、胸がザワついた。
“陣平……何が、あったの？”
“A…。落ち着いて、聞いてくれ…”
多分私は、あの時の陣平を一生忘れないと思う。
“警視庁警備部機動隊、爆発物処理班所属の萩原研二が、本日爆弾の解体中に……殉職した”
“え……？”
鈍器で頭を殴られたんじゃないかという程の、重い衝撃が走った。
“嘘……だって、今日……３人でいつもの飲み屋でって……”
研二が解体していた爆弾は、陣平との通話中に、止まっていたはずのタイマーが再び作動して爆発したらしい。
陣平の目の前で、研二の居たマンションのフロアが、大きく爆発したと。
そう話してくれた陣平は、俯いていたから、彼がどんな顔をしているかまではわからなかった。
ただ、涙だけは、零れていなかった。
“研二……っ”
だから私は泣いた。
泣かない陣平の代わりに。
“俺らの証人欄、書くんじゃなかったのかよ。馬鹿野郎が…っ”
陣平はお葬式でも、泣かなかった。
でもそれは、泣かなかったんじゃない。
ただ、泣けなかっただけ。
“……A”
お葬式の後、ふいに名前を呼ばれたと思うと、陣平が私をぐっと引き寄せた。
“A。お前は……俺から、離れんな……”
陣平の声が、微かに震えていた。
“そんなの、当たり前…”
私はあの時、陣平の広い背中に腕を回して、確かにそう言った。
“いるよ。私はずっと、陣平の傍に…”
それは私の本心だった。
なのに私は……
“A……教えてくれ。何で別れようなんざ、そんな嘘ついた…？”
陣平を裏切り、傷付けた。
“…言えない。言えないの…。でも、別れたいのは嘘じゃない…”
“俺の傍に……ずっと居てくれるんじゃねぇのかよ？”
“それは狡い…っ！お願いよ…。別れて……”
懇願すると、陣平は煙草を咥え、一度だけ吸い、溜め息の様に紫煙を吐いた───…
*追憶の紫煙編 X��*
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ゆかの(プロフ) - リンリンさん» リンリン様！初コメありがとうございます！！アッ…そんな…泣いてくださったのですか(; ;)！？感激過ぎて全私が泣きました…(TT)←精一杯更新頑張りますので、ぜひまた遊びにいらしてくださいませ！ (2018年6月27日 13時) (
レス) id: 2d500e497d (このIDを非表示/違反報告)
リンリン(プロフ) - 初コメ失礼します！とっても面白いです！涙無しじゃ読めないです！気がついたら泣いてました（笑）更新楽しみにしてます！ (2018年6月27日 2時) (レス) id: af982d2a03 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかの(プロフ) - ＊°_梨紅葉さん» 梨紅葉様！初コメありがとうございます！！なんて恐縮なお言葉でしょうか…！文字書き冥利に尽きます…！本当にありがとうございます！！これからも精一杯更新頑張ります(｀・ω・´)ゞぜひまた遊びにいらして下さい！ (2018年6月21日 8時) (レス) id: 2d500e497d (このIDを非表示/違反報告)
＊°_梨紅葉(プロフ) - 初コメ失礼します！名探偵コナンのいろな小説を今読んでいますが、この小説が1番大好きです！更新楽しみに待ってます！ (2018年6月20日 19時) (レス) id: cec72675c0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかの(プロフ) - しろさん» しろ様、嬉し過ぎるお言葉ありがとうございます…！！ほんともう感激過ぎます…！松田さんもなんですが警察学校組は本当に生きてて欲しかったと思います…(泣)過去編！ご期待に応えられる様に頑張ります！！ぜひまた遊びにいらしてください！ありがとうございました！ (2018年6月14日 10時) (レス) id: 2d500e497d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆかの | 作成日時：2018年6月1日 12時
