拾った45 ページ46
「う゛っ！？」
夢を探す範囲を広げて走り回ってる時。
上から唐突に何かが降ってきて、地面に倒れ込む。
「いってぇ…ふざけんなよ、何………」
頭を抑えて振り向けば、そこには「うええええええっ！」と俺の姿を見て大きな声をあげて泣く夢。
何が何だかわからなくて、頭に「？」マークが沢山浮かぶ。
……でも、それより先に。
「っ夢！！！！」
自分でもびっくりするほどの、
大きな声が出た。
夢はビクッと大きく身体を揺らす。
「勝手にいなくなるなよ！どこ行ってた！？お前に何かあったらどうするんだよ、俺！！……っ」
言いたい事はいっぱいあった。
「ごめんなさい」とカタカタと身体を小刻みに揺らして、記憶に残ってる痛みから身体を守るようにして泣いて謝る夢を見たら、言葉が詰まった。
色々言いたいことはあった。
山ほど、だ。
でも。
こんな夢を見て、俺は一つ学ぶ。
怒鳴ることが全てじゃないと。
寧ろ、怒鳴ることはいけない事なんだと。
怒鳴ることは、犯罪に近しいかもしれない。
俺は、お父さんと同じことをしていたんだ。
そう考えると、無性に腹が立った。
─── 「……無事でよかったよ」
優しい声で、優しいトーンで。
そう言って、夢を抱きしめた。
夢は「やっ！」と言ったが、抱きしめられたことに気づいてからはもっとわんわんと泣き出した。
夢。
泣いているお前が一番不安で、
怖かったんだよな。
個性を意図的に発動したわけじゃないのに、理不尽に怒鳴られて怖かったよな。
俺が悪い。
ごめんな。
でもさ、夢 ─────。
「お前は俺の子どもなんだよ。頼むから、勝手にいなくならないでくれ」
ぎゅうっ…と強く、夢を抱きしめてそう呟いた。
──── 寒い風が吹く2月の中旬。
俺にとっては大事件と言える「夢の失踪事件」は幕を閉じた。
こうして、春がやってくる。
波乱万丈の少し肌寒いけれども優しい風が吹く、そんな春が。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 159人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
39(プロフ) - 八月葉月さん» 読了お疲れ様でした。そして労いのお言葉ありがとうございます！続編は今日中に形だけでも作ろうと思いますので、次作でもよろしくお願いします！ (2019年10月24日 19時) (
レス) id: c3bcafc4ec (このIDを非表示/違反報告)
八月葉月(プロフ) - ひとまず、お疲れ様でした！続編が楽しみです！ (2019年10月24日 19時) (レス) id: e13aca54b5 (このIDを非表示/違反報告)
39(プロフ) - 悠羽さん» 「さんきゅー。適度にまァ…頑張るわ」「死柄木弔。コメント返信も大事ですが早くお戻りください」「おっと…。そんじゃ、絡んでくれてあんがとさん。これからもこの作品をドウゾよろしく」 (2019年10月23日 23時) (レス) id: c3bcafc4ec (このIDを非表示/違反報告)
悠羽(プロフ) - 39さん» ありがとうございます！これからもほのぼのライフ楽しみにしてますっ("｀д´)ゞ (2019年10月23日 23時) (レス) id: dc20c95a90 (このIDを非表示/違反報告)
39(プロフ) - 悠羽さん» 「夢とお揃いの服…！？……写真撮りたいな」「完全に乗せられてやすぜ死柄木！！(玄)」「写真はやらんが俺の携帯に収める。お前(悠羽さま)写真撮れよ」「(あ、これ完全にアウトなパターンだ)(玄)」 (2019年10月23日 22時) (レス) id: c3bcafc4ec (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：39 | 作成日時：2019年10月17日 20時
