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3話 ページ4

驚いていない。…と言ったら嘘になる。
いくら万物を視られる私とて、この世界で異世界の異物まで視ることは出来ない。

彼女はそういう存在だ。
あくまで私が視られるのはこの"現在の世界"であって、並行世界ではない。

サーヴァントとして仕えていた時の記憶は鮮明にあるが、今のこの世界はそこの世界ではないのだから。


「…つまり、記憶を失くしている、と?」

「みたいです…」


名前の件をきっかけに、私が彼らに質問をすると親身になって答えてくれた。
…そういうところだよ、藤丸くん。


「……なるほど」


一つ、溜息を吐いてはそう呟く。
通りで"いつもの対応"がないと思ったら記憶を失くしていたのか。
全く、久しぶりの再会だというのにいつ記憶を失くすだなんて馬鹿になったのか。
いやはや、実にこれは揶揄い甲斐があると言うものだね。


「ふむ…どれ。少し失礼する ─────」

「さわらないで」


ペチンッ、と伸ばしていた手を叩かれてその場が凍りつく。
藤丸くんとマシュは面白いくらいに慌てふためき、私は逆に笑顔だ。


「見れば分かるだろう?見れば。私はキミより年上の立場に居るのだよ?敬い給えよ」

「はあ…?お兄さんって言った時心底嫌そうな顔をしたのは誰ですか」

「私だね?キミと兄だなんて…まして、「おにいさん」と呼ばれるなんて真平ごめんだもの」

「奇遇ですね、私も嫌です」


はいそこの二人ー。
「似た者同士だ」とかヒソヒソと会話を交えない。
私は聞こえているよ?


「はは、キミの今の状態を調べるだけさ?感謝し給え」

「出来るんですか?いかにも怪しい変態そうな人が」

【ははははは!誰だかわからないけど、実に良い!事実を述べてもらってるじゃないか、マーリン!】

「ははは、ロマンくん。私は怪しいけれども変態ではないさ。美女は勿論好きだけども」

【そういうところだよ】

「…こんな姿(なり)でも私は魔術師さ。キミが何者なのか…と心から望むと言うのなら、その過程としてキミの記憶を覗かせて貰おう。何、記憶喪失と言っても記憶とは奥底に眠っているだけのものさ」


再び私は手を伸ばした。
彼女はもう、私の手を振り払わなかった。

つまりはそういうこと(・・・・・・)と受け取って良いのだろう。
素直というか、馬鹿正直というか。

人間は本当に分からないことは追求したいという探究心に駆られる生き物だね。

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設定タグ:Fate , FGO , マーリン   
作品ジャンル:アニメ
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39(プロフ) - いちごぱふぇさん» ありがとうございます! (2020年7月2日 2時) (レス) id: fb4b458560 (このIDを非表示/違反報告)
39(プロフ) - 無月さん» 面白いのであれば幸いです。ありがとうございます!頑張りますね。体調に気をつけて過ごします! (2020年7月2日 2時) (レス) id: fb4b458560 (このIDを非表示/違反報告)
いちごぱふぇ(プロフ) - え、好きです! (2020年7月2日 2時) (レス) id: e2dd6d7f46 (このIDを非表示/違反報告)
無月 - 39さん» いえいえ!感謝はこちらのセリフですよ。こんなに面白い作品をありがとうございます!!自分も体調に気を付けながら過ごします故、39さんも気をつけてお過ごし下さいね! (2020年6月28日 14時) (レス) id: fd159cff01 (このIDを非表示/違反報告)
39(プロフ) - 無月さん» コメント、作品への感想ありがとう御座います。面白いと言って頂けてとても光栄です。続きや更新、体調に気を付けつつ頑張りますので是非お待ち下さい!無月さまも体調にお気を付けて日々お過ごしくださいませ。 (2020年6月28日 12時) (レス) id: fb4b458560 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:39 | 作成日時:2020年6月27日 11時

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