【名探偵コナン】ポアロマスターの代理です。4

69.汝如何なる時も〜？ ページ9

大きな扉の前でお父様と待機中。
…分かってる、作戦だと分かってるが
この瞬間って結構緊張するのね…
もうね、ギッチギチに絞められた上半身が
全体で脈打ってるよ。バックバク。

扉を開ける為に目の前に構えてる
ブライダル関係者にも目を光らせる。
もう一瞬の油断も出来ない所まで来た。
…だから緊張してんのかな？

すぃーと開けられる扉、
目の前に広がる…あれだよ。
皆が｢おめでとー！｣みたいなあの空間。
…急に語彙力無くなったな…
いや、凄いもん。貴重だよこの目線。

お父様とゆっくり歩き出す。
ベールが薄くても地味に視界の邪魔をする、
そんな中必死に悟られないように辺りを見渡す。
多分毛利のおっちゃんと零が
前もって目をつけてくれてるだろうけ…ど…


コ｢わぁー！！綺麗だねっ！！｣

小｢うるせぇっ！黙ってろってんだ！｣


…………おチビちゃん、ちゃっかり来てたよ。
こっち見てお目目キラキラさせてたよ。
演技だよね？お前俳優目指せよ…
おっちゃんに頭グリグリされて
不貞腐れてる様がちょっと可愛かった。

そんな折、おっちゃん達とは
逆に座ってる零と目が合う。
気を付けろよ、と言わんばかりの視線を貰い
お父様が花婿さんとバトンタッチ。

さっさと誘き出す為にも
少し仲がいいでしょアピールを振りまく。
腕を組みながらお互いに顔を合わせて笑い合う
が…おいおい…
そんな不安そうな顔すんなよ男だろうが！


『(婿さん顔、顔っ！！)』

婿｢(そ、そうですよね…すいませんっ！)｣


互いにしか聞こえないように
歩きながら耳元に小声で話し掛ける。
そんなやり取りもきっと犯人には効果抜群だろう。
脅迫状がありながらそれを完全シカトで
こんな幸せそうな式を挙げてんだもんね。

神父の前で誓いの言葉を交わす。
おいおい、まだ出て来ないのかよ…
このまま指輪交換してキスまですんの？
未来の旦那さんに謝罪しなきゃ…


なんてちょっとふざけた事を考えた時だった。

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