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78.恋する…乙女? ページ36

零side.



降「……好きだ。」


苦しくて、切なくて…
少しでも律の中に俺という存在を
刻んで欲しくて思わず口から出てしまった言葉。
頭を撫でていた律の手が止まる。
俺の耳には彼女の心音だけが響いている。

その音は遅くも早くもならず
一定のテンポで鳴り続ける。
止まっていた手は背中に流れ
ポンポンポン…と優しく叩かれる。


『私も好きだよ。
零も、コナン君も…皆大好き。
もう誰も失わせない、寂しい思いさせないから。』


…あ、伝わってないコレ。
でもそれはそれでいいのかもしれない。
正直俺だって仕事の関係で
いつ命を落とすかなんて…


『だから零も…
私にそんな思いさせないでね…?』


………。
毛頭死ぬつもりはないんだが
余計生きなくてはいけない理由が出来た。
俺が居なくなったら寂しい…なんて
少しは自惚れても良いんだな。

今は…それで十分だ。
いつか本当の意味で伝えられればそれで。


降「…了解した、ありがとう律…」

『ううん、何もしてないよ。』


お互い起き上がり漸く濡れた頬を拭く。


『今日は一緒に寝ようか!!』

降「え、えぇっ!?」


小さく笑いながら俺の腕を引っ張り
風呂場へ追いやられた。
有無も言わさず今日は泊まりになった。

風呂から出てリビングへ行けば
グラスに一杯だけの酒を片手に
煙草を吸って待っていた律。
…様になるよなぁ…、じゃなくて。


降「…"バーボン"か。」

『好きなんだ、"バーボン"。』


ニコっと笑いグラスを回すと
律の手で鳴る氷。
ちょっと意味深で照れ臭くなったが
悔しいから得意のポーカーフェイスで隠した。


『兄貴が唯一家で呑んでたの、呑めないくせに。
"バーボンってカッコ良くね?"って、
意味分からんこと言ってたわ。』


大人の男として格好付けたかったんだろうと
律は続ける。
…そこは別に酒じゃなくても、と思ったが
可愛く思えてしまった俺は小さく笑った。


『でも今なら"バーボン"のカッコ良さ、
分かるかもしれないねぇ…』


目を瞑って味わう様にバーボンを一口、
律の喉が動く。
やがて開いた目は俺を真っ直ぐ見つめて
柔らかい笑みと共に細められた。

そして再びグラスに口をつけ
残りを一気に飲み干した。
何故か時々律に
男の色気(ワイルド部門)を感じるのは何故なんだ…

立ち上がった彼女は俺の頭を一撫でし
流しにグラスを置きに行く。
だから男前かよっっ!
しかもちょっと顔を熱くしてんじゃねえよ俺!

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りん(プロフ) - 私は元々トリップ系とか好きなんですよよく調べたりしたりするので文ストとか今は待ってますし(*´ω`*)アニメはだいたい見てますよ(*´ω`*) (2018年9月18日 2時) (レス) id: 5016550d2e (このIDを非表示/違反報告)
いわし(プロフ) - りんさん» 私も降谷君が今の所勝ってしまいますが赤井さんも捨てがたいのです。゚゚º(゚´ω`゚)º゚゚。笑 (2018年9月18日 2時) (レス) id: 9417f12aeb (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 降谷さん好きなんですよ名探偵コナン中では赤井さんもですが降谷さんが勝ちます(*´ω`*) (2018年9月18日 1時) (レス) id: 5016550d2e (このIDを非表示/違反報告)
いわし(プロフ) - りんさん» ありがとうございます。゚゚º(゚´ω`゚)º゚゚。まさかここまで来られると思ってもなかったです笑/お楽しみ頂けるよう頑張ります!(*^^*) (2018年9月18日 1時) (レス) id: 9417f12aeb (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 続編おめでとうございます続き楽しみにしてます (2018年9月18日 1時) (レス) id: 5016550d2e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いわし | 作成日時:2018年9月17日 23時

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