【ときメモGS1】手繋ぐの恥ずかしくないもん【氷室零一】

恥ずかしくない！〜43〜 ページ43

姫条くんについて行った結果着いたのは、校舎裏。相変わらず誰もいない。人がいる気配もしない。



ここ、昼休みに葉月くんが来ること以外に人が来ること無さそうだなと思いながらも立ち止まった姫条くんの後ろ姿を見る。



姫条「あの、ちょっとした質問なんですけど」

A「ん？」

姫条「何で先生は、授業をサボろうとした俺にあんな親切に数学教えてくれたんですか？」



まあ確かに、基本授業をサボったら先生はそりゃあ怒るものである。「今までどこで何してたー！」とかまあそう言ったところなんだろう。



彼も最初は怒られると思っていたんだろう、私が全く怒るような真似をしなかったのを不思議に思ったのかもしれない。私だったら「怒られなくてラッキー」くらいに思いそうだけど。



まあでも質問されたのなら答えなければならない。私はその場で少し考え込んで言った。



A「“いちゃりゃばちょうでい”だからかな？」

姫条「え、い、いちゃりゃばちょうでい？」



突如私が発した言葉の意味が分からなかったのか、姫条くんは頭の上にはてなを浮かべて私を見ている。恐らくこの言葉を聞いたことがないのだろう。



A「これは沖縄の方言で“一度出会ったら兄弟”って意味なんだよ」

姫条「一度出会ったら、兄弟…。」

A「そ！私はね、この学園で色んな生徒と仲良くなりたいと思ってるからさ、一度出会った生徒とは兄弟みたいに仲良くなろうと思ってるんだよね！」

姫条「兄弟、みたいに…。」



姫条くんはどこか驚いているような顔をしながらその場でもう一度「いちゃりゃばちょうでい…。」と呟いた。噛み締めてるのかも。

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