【ときメモGS1】手繋ぐの恥ずかしくないもん【氷室零一】

恥ずかしくない！〜31〜 ページ31

葉月side

いつの間にか昼休みに入っていたから、いつもの校舎裏に弁当を持って向かった。あそこは人気がなくて落ち着けるから、好きな場所だ。



少し歩くとすぐ校舎裏に着いた。しかし、そこがいつもと違うことに気付いた。俺がいつも座っているベンチに何やら知らない女の人が座って弁当を食べているのだ。



葉月「…人がいる…？」



俺が思わずそう呟くと、ビックリしたのであろうその人はその場でゲホゲホと咳き込んでこちらを向いた。食べている途中、ちょっと申し訳ないな…。



その人は俺の名前を問うてきたので、この学園内にいると言うことは教師か誰かだろうと思って普通に自分の名前を言った。



A「葉月くん、ね…。急に現れたからビックリしちゃった…もしかして葉月くんの指定席を私が使っちゃってた感じかな？」



いつも俺が座っているベンチを「指定席」と呼んだその人に面白いなと思った。指定席なんて言い方する人、いるのかと思って。



適当な返事をすると、その人は「それはごめん！」と言って隣のベンチに移った。態々そんなことをしなくても良いのにと思ったが、彼女なりの気遣いなのかもしれない。



前に誰かが「人の優しさは素直に受け取れ」とかナントカ言っていた気がしたので、一言お礼を言ってそこに座った。まだ微妙に体温が残っていて暖かかった。

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