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｢＿＿Aの幸せが、StrayKidsでいることとは限らないだろう。このままAがこのグループにいることが良いことだとは言いきれない｣
しばらく口を閉じていた統括マネージャーが静かにそう言った。その言葉を聞いて、それを決めるのは会社ではなくて、A本人だろうと言葉を返してやりたかったのだが、何故か声がでなかった。
ふと、Aが今幸せかなんて到底言いきれないではないかと思ってしまったからだ。
最近、Aが心の底から笑った顔を見たことがあっただろうか。自分も必死にここまで食らいつきながら走ってきたから、Aのことを気にする頻度も少なくなっていた。
Aにとっての最善が何かなんて、明確には分からない。
その証拠に、こんなに話が展開しているのにも、俺が何度も食ってかかっているのにも関わらず、横のAは反論どころか何一つ言葉を発さない。
｢とりあえず、まだ考案段階であることには変わらないから、突然白紙になる可能性だってある。が、時間が無いから正式決定の日も近い。チャニにも知っておいて欲しいと思って今回呼んだんだ。今日はここまでにしよう｣
次の予定があるのか、この話し合い……いや、一方的な通達の場はお開きになり、俺たちは否応なく退室を促された。
会議室を出て、Aがこちらを見ることなく来た道を戻ろうとするから、手を伸ばしてAの腕を掴んだ。
｢Aッ、ちょっと話そう｣
｢話すことなんてないよ。早く戻らなきゃ｣
｢何言ってるんだよ、おかしいよ｣
｢だって、みんなと一緒にいられる時間なんてあとちょっとしかないかもしれないじゃない。だったら、少しでも時間を無駄にしたくない、から｣
｢……A、なんでそんなこと言うの？Aはあの話を受け入れるっていうこと？｣
無意識にAの腕を掴む手に力が入ってしまっていたのか、Aの表情が歪んでいくのに気がついて、慌てて力を弛めたが、手を離すことはしなかった。
｢私がいることによってStrayKidsが幸せになれないのなら、私は従うつもりだよ｣
Aがこちらを真っ直ぐ見つめてそう言うのなら、もしかしたら何も言い返せなかったかもしれない。でも目の前の彼女は、視線を外して振り絞るように言うものだから、ますますこの手は離せない。
｢自分の幸せを優先しなきゃダメだよ。なんでAのせいで俺たちが幸せになれないって、そんなこと言うんだ｣
｢そうだから、事実だからそう言ってるの｣
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作者名：ゼロ | 作成日時：2023年10月20日 22時
