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｢Aの、2月デビュー予定の女子グループ加入の計画が本格的に検討される段階に入りそうなんだ｣
｢……は、あの、どういう、｣
自分が何か聞き間違えているのではないかと思った。無意識に視線はAの方を向いていて、頭を下げてからそのままやや下の方を向いていたAの目は、いつもより少しだけ大きく見開かれていたが、とんでもないことを言われている……しかも当事者にしてはやはり反応が薄かった。
Aは、多分全部知ってるんだ。
｢少し前までは"そんな話も出ている"くらいだったが、君たちの今回の活動が終わった辺りからこの話が本格的になってきた｣
｢いや、待ってください。だってそもそもAは女子グループに合わないからって……｣
あの時涙を流して紡いでいたAの言葉を、一度たりとも忘れたことは無い。あの言葉を聞いたからこそ、俺はAと一緒にこの道を進むって決めたんだから。
次にデビューする女子グループのメンバーなんて、イェジやリュジンなど、ショーケースの時女子チームにいた子達がほとんどだろうに、どうして今更こんな話が。
｢コンセプトを練っていくにつれ、Aがこのコンセプトに相応しい存在であるかもしれないなんて意見が多く見られるようになった。これならAは輝けるなんて、納得する意見が無視できないほど多くなったんだよ｣
｢じゃあ、そしたらStrayKidsはどうなるんですか｣
｢Aを加入させるならそのグループのデビューも準備期間として数ヶ月はずらす予定だ。AはStrayKidsとして年内まで活動し、年明けすぐ女子グループに合流してもらう｣
ヒュと小さく喉が鳴った。そこからまるで呼吸の仕方を忘れてしまったかのように息が出来なくなって、目の前が真っ白になる。そんなありえない計画、はい分かりましたなんて頷く訳が無いだろう。あまりに勝手すぎる。
｢Aは、StrayKidsです。そんなの許せません｣
｢チャナ、俺たちだって何もその場のノリでこんな話をしている訳じゃないんだ。分かるだろう？これはお遊びじゃない。たくさんの人と金が絡んだ、そしてうちの大事な子達の未来がかかったプロジェクト、仕事だ。ちゃんとしたメリットがあるから話が没にはならないんだよ｣
｢それでもアイドルという職業において、例え人が商品だとしても、A本人とその周りの人達の気持ちは無視ですか？｣
震える唇で言葉を紡ぐと、目の前の役員の人達は一度黙り込んだ。
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作者名：ゼロ | 作成日時：2023年10月20日 22時
