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Bang Chan
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俺たち2人の名前がJYPの統括マネジメントのスタッフの口から出た時、ああまたいつものかなんて思ってAの方を見ると、やけに神妙な面持ちで静かに返事をしていて、思えばそこから違和感が生じていたんだと思う。
いつもだって静かなことには変わりないけれど、俺の方を見て｢まただね｣なんて困ったようにぎこちなく片側の口角を上げて笑う＿＿そんな姿が今日に限っては全く見られなかった。
スタッフの後ろを2人で肩を並べて歩きながら、Aに話しかける。
｢A、なにか心当たりでもあるの？｣
｢うーん……ないと言ったら嘘になる、のかな｣
Aは特にこちらを見るわけでもなく、真っ直ぐ行先を見つめながらそう言った。サバイバルが始まる前にバッサリと切られた髪は、デビュー前にもう一度短く整えられ、それも今では首が隠れるくらいまでには伸びていて、時間の経過を感じさせる。
スタッフが足を止めたドアには会議室と書かれている。いつもの場所だ。中に入るのを促されて、言われた通りに室内に入ると、他に数人役員の方がいらっしゃっていた。かなりのお偉いさんだ。
｢A、少し君を叱らなければならないことがあるね。分かるか？｣
｢……はい｣
突然呼び出されて脈絡もない話が始まって、なんの事だかさっぱりな俺に、目の前の役員の方が説明するように話し始めた。
｢この前＿局の音楽番組の収録日、Aがその局のスタッフ2人と揉めたんだ｣
｢……え？｣
聞き間違えを疑うようなあまり信じられない内容だったので、思わず眉間に皺を寄せて聞き返してしまった。Aが、外部の人間と揉めた？いや、ありえない。
｢局側もスタッフの怠惰があったからと今回は見逃してくれたけれど、A、理由はどうあれ、君は選択をひとつ間違えただけで身を滅してしまう可能性がある立場をちゃんと分かって欲しいんだ｣
｢……はい、本当にすみませんでした｣
頭を下げて謝罪の言葉を述べるAを、俺はただ隣で見つめることしか出来なかった。メンバーに何かあった場合、いつも俺には速やかにその情報が共有される。それがどういう訳か、Aのこの件については今初めて知ったのだ。
しかも、これが本題では無さそうだ。しばらく頭を下げていたAがゆっくりと顔を上げて再び目の前に鎮座する社員の方々の方を見ると、1人がひとつ咳払いをした。
｢チャナ、ここで君に初めてこの件について話すことを許して欲しい｣
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作者名：ゼロ | 作成日時：2023年10月20日 22時
