良き理解者になりたかった #1 ページ4
※脱退された方が出てきます
Felix
.
立ち上がって一歩踏み出したと同時に、パチンと下から小さな破裂音のような音がした。驚いて足元を見てみると、右足のシューズの靴紐が切れていた。
I am YOUでの活動が終わって休む間もなく、歌謡祭や授賞式の為の練習にひたすら時間を費やしていた。今日も先輩グループの曲のカバーステージの振り入れを全員でしていたところだ。
ただ、現在この練習室に居るのは8人。ほんの少し前、チャニヒョンとAヌナがスタッフの方に呼ばれて練習室を出ていった。それでみんなも集中力が切れてしまったので、少しだけ休憩を挟んでいた。
「ヨンボガ、どうしたの」
「靴紐が切れちゃって」
立ち上がったのに再びしゃがみ込んだ僕を見て、近くにいたスンミンとヒョンジンが声をかけてきた。靴紐が切れたことを2人に伝えると、ヒョンジンがえ!と驚いた声を上げていたので2人で首を傾げる。
「ヨンボクも?おれも一昨日だっけな、そのくらいに靴紐切れたんだよ!その時に買った新しい靴紐、まだ余りあるから使っていいよ」
そう言ったヒョンジンが自分のカバンの中を漁って、黒い靴紐を一本持ってきてくれた。それを見ていたスンミンが口を開く。
「なんかどっかで見たんだけど、靴紐切れるのって日本だと縁起が悪いって言われてるらしいよ」
「え、そうなの?確かに、そんな頻繁に切れるものじゃないし……い、いや頻繁に切れるものじゃないからこそ寧ろ良いこと起こるんじゃない?」
「短期間で2人も靴紐切れるって、なかなかないよね」
スンミンがそんなこと言うから、少しだけ背筋が凍るような、なんだかぞわぞわする感覚が……。
「いや違う!おれたちがいつも全力で長い時間練習してる証拠だよ!不吉とかそういうんじゃない!」
「確かに、そうだ!そういう事なら怖くない……!」
何においても、捉えようによってはいい意味にも悪い意味にもなるから、だったらいい方を考えたい。
そんな話をしていると、この場を取り仕切っているリノヒョンがドアの外を気にして見ていた。まだ2人は戻ってきていない。
「アレ、デビューしてから何回目だろうね」
「アレって?」
「チャニヒョンとAヌナがセットで呼び出されるの」
デビューしてからと言うものの、いやその前からだけれども、かなりの頻度で
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作者名:ゼロ | 作成日時:2023年10月20日 22時