彷徨う先に３ (ページ15)

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イエニがすぐにヌナに電話をかけようとスマホをポケットから取り出したその時、ちょうど誰かの着信音が鳴った。

手にしているイエニのスマホはホーム画面のまま。俺のスマホは特に振動もせず画面も暗いまま……となると、この着信音はチャニヒョンのスマホからということになる。

｢……ヒョンジンからだ｣

トレーナーのポケットからスマホを取り出したヒョンがそう言って画面をスライドしてスマホを耳に当てると、俺とイエニでもなんとなく聞き取れるほどのやや大きめなヒョンジンの声が聞こえてきた。

『チャニヒョン！Aヌナとたまたま社内で会ったからどこに行くのか聞いたら、ちょっと会社の人と話してくるってそれだけ言ってたんですけど、本当に大丈夫ですか？』

声だけでも分かるほど、かなり焦っているような様子だった。イェジと別れてそのまま会社の偉い人たちと1人で話をしに行ったってこと？それって、確かにまずいんじゃないか？

『ヌナ、目が赤かったです。すごく心配なのに、おれ、止めれなかった。多分チャニヒョンしか無理です。今すぐ行ってあげてくれませんか！』

｢……うん、分かった。すぐ行ってみる。ありがとうヒョンジナ｣

ヒョンは椅子から立ち上がりながらそう言って、すぐにヒョンジンとの電話を切った。

｢ちょっと行ってくる｣

｢またややこしくなりそうだったらすぐ俺たち呼んでくださいね！｣

ヒョンは俺のその言葉に一度頷いてすぐに部屋を出ていった。俺たちが呼ばれることなく2人がちゃんと話し合えて、この件が解決するのが一番なんだけれど。

｢2人とも、仲直り……できるといいですね｣

｢チャニヒョンもさっきと今じゃかなり顔つき違ってたから、大丈夫だと思うけどね〜｣

俺がそう言うと、自分を納得させるように首を何度か縦に振ったイエニ。はあ〜なんかお腹空いてきたな。そういえば昼を食べてなかったことに今頃気がついた。

｢ヒョンジン何してたんだろうな。あいつのおかげで事が急に進んだし、お礼の意味も含めて3人で飯でも行く？｣

｢じゃあ今度こそ僕がジニヒョンに連絡してみます｣

イエニはスピーカーにしてヒョンジンに電話をかけた。繋がった瞬間イエニが｢ヒョン今会社にいるんでしょう？｣なんて言うものだから、ヒョンジンがなんで知ってんの！？と間抜けな声で驚いている。1階で待ち合わせな！と横から言って、そのまま電話を切った。

次に2人と会う時にはいつも通りであることを祈ろう。