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きっとAは「自分がいるからこういう企画はやらない」なんて理由は絶対に許さないだろうし。

まあなんというか、責任重大だ。既に魂が抜けかけているヨンボクと、こちらの手助けなしでは動くことすらもままならないAを引き連れてパズルを探し出さなければならない。


「ヨンボガ、大丈夫?」

「大丈夫じゃないよ……」


一段ずつゆっくり階段を上り、人形やゾンビのおじさんと邂逅して、もはや怒り始めるヨンボクをなんとか2人で宥め、紆余曲折を経てようやく美術室に入る。階段の踊り場とは違って多少の明かりがあるので、少しはAも捜索に参加できそう。それでもほとんど見えてないんだろうけれど。


「これ、暗号探さないと開かないね」

「捜索しなきゃダメかー」

「ヨンボク、立てる?リノに掴まって頑張ろう」


奥に歩いていって棚の近くに足を踏み入れた瞬間、ヨンボクの足元から大きな破裂音が。バンスナップが敷かれているらしい。その破裂音とヨンボクの大声で隣のAが大きく肩を揺らして固まってしまった。


「なに、今の」

「バンスナップだよ。踏んだら爆発するの。大丈夫?」

「びっくりした」

「怖い?」

「怖くない」

俺の問いに食い気味で即答するAは子どもみたいだ。ヨンボクの膝を心配していると、背後の棚から待ってましたと言わんばかりに飛び出てきたお化け。そうしてまたAが固まった。


「……リノ、もう出たい」

「うん、じゃあ早く探そう。ヨンボクの事見ててあげて」


疲れもあるのか一段と声が小さくなってしまったA。早く探さなければ。あまりにも怪しすぎる箱を見つけて覗く。虫を模した玩具がたくさん入っていて、いくら玩具とはいえあまり手を突っ込みたくない。

虫の方が何倍もマシだと言わんばかりにヨンボクが勇敢に手を突っ込み、その手にスライムをべっとりと付けながら一緒に引っ付いてきた紙をAが救出。

そこに書かれた数字通りにダイヤルを回せば、ついに開いた箱の中にお目当てのパズルとの出会いを果たす。


「よし、これで戻れるよ」

「もう僕動けないよ……」

「来た道戻るんだよね」

「降りる時の方が多分怖いだろうから、ちゃんとくっついててね」

「うん、ありがとう」


隣にいるのに顔が見えないのがあまりにも悲しい。そう隣で小さく呟いたAと、未だ腰抜け状態のヨンボクに大丈夫と声をかけながら、行きと同じように2人の手をしっかりと握り、明かりを求めて美術室を後にした。

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作者名:ゼロ | 作成日時:2023年10月20日 22時

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