君の目に映るように ページ1
Lee Know
슼케어리 나잇 #1.2 | [SKZ CODE] Ep.08.09
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自分の右側にはガタガタと震え腰を抜かし、腕にしがみついているひよこが1匹。そして左側には先程から息をしているのかと心配になるくらい静かな猫が1匹。ただ、俺の服の袖を掴む力はかなり強い。
スキジギの面々の目論見によって、俺たちは今暗闇の校内に放り出されている。しかも腕を繋がれて。頼りになる存在として半ば強制的に真ん中に配置されたが、両手を拘束されているのでこれが本当に自由に動けなくて……。ヨンボクを真ん中に置くべきだったかもしれない。
真っ暗な階段を上る前に辺鄙な仕掛けに大声を出してこちらをビビらせるヨンボクを宥める必要もあったが、正直気が気ではないのは自分の左側にいる存在である。
「A、大丈夫?階段上るけど」
「うん。腕掴んでていいなら」
「ここ、ちゃんと掴まって」
ぼんやりと見えるAの横顔は、いつもと変わらないように見えるが、声色から感じ取るに少々不安そうだ。ただ、この不安は別に肝試しに関しての恐怖だけという訳では無いのは確か。
Aはホラー系のジャンルの映画やドラマを見ている時だって差程ビビらずステージ上にいるのかと思うくらい表情を崩さずじっと画面を見つめているし、大きな音や驚かされるのはあまり得意ではないのか、そういうシーンで肩を揺らすことはあるものの、基本的には強靭な精神力の持ち主だ。
じゃあ何故今の状況に不安な要素があるのかというと。
「ごめんね、本当に何も見えなくて……。一段目どこだろ」
Aは暗い場所だと全く目が利かなくなってしまう。基本的に人は明るいところから暗いところに入ると徐々に目が慣れてくるものだが、Aに関しては慣れることはなく、ずっと見えないまま。そういう先天性のなにか、らしい。
暗いところが見えにくいだけで他は何もないという。視力は元々良くないからこれとは関係ないと断言していた。
小さい頃、暗いところで無理に歩いて物にぶつけてアザを作る度にお兄ちゃんに怒られたと笑いながら話すAを見るに、本当に気にしてないようだし、気を遣わなくていいと俺たちにも会社の人にもスキジギにも伝えている。
……とはいえ、初めて来る場所で暗闇を動き回って捜索しなければならないというこの状況になると話は違ってくる。
この企画を考案した制作陣を責めるつもりは全くないし、こういうコンテンツが人気を集めやすいというのも重々承知だ。
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作者名:ゼロ | 作成日時:2023年10月20日 22時