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今日もいつも通り午前中から練習。ヌナはいつも早く練習室にいるんだけれど、今日は全員が集まってもヌナの姿は見えなかった。



「あの、Aヌナは?」

「Aは用事が済んだら来るみたいだよ」



チャニヒョンもその用事の内容までは分からないみたいで、でも体調不良とかじゃなくて良かったとほっとする。




しばらく練習をしているとドアが突然開いた。少し俯いて入ってきたからシルエットだけでは誰だかわからなくて、先生?知らない練習生?と考えていたらふっと頭を上げたその人の顔は毎日のように見ていたその綺麗な顔で。



「えっAヌナ?」


チャンビニヒョンが声を漏らした。みんなもピタリと固まって動かなくなってしまう。まるでヌナに石にされたみたいに。


「みんな、お疲れ……?」



何だか困ったように眉を下げて片手を上げた……ヌナ。

ヌナなんだけど、Aヌナといえばなんてみんなで話していた黒くて綺麗なロングヘアは跡形もなく消え去ってしまっていた。


顔のラインに沿ってバッサリと、僕達男から見れば少しだけ長いかなと思うくらいの短髪になってしまったヌナ。




「本番前に切ってみた。気合い入れも含めて」


本人は特に気にしていないと言わんばかりにへらりと笑ってこちらに歩いてくる。


ここで何となくみんな察したんだ。ここでデビューするにあたって、ヌナの女性らしさというものはコンセプトに合わないということを。


ヌナが自分の意思でこんなにバッサリ髪を切るはずがない。ほかのヒョンたちがそこまで思ったのかは分からないけれど、僕は直感的にそう思った。




「……やっぱり似合わないかな」


「ううん、そんな事ないよ!短いのもいいね」

「ヌナかっこいいです!」

「ヌナァ、王子様かと思った」



ヒョンたちが次々にヌナの短髪を褒める。その判断が結果的に正しいことくらい分かってる。


ヌナが自分から望んで切ったとしても、事務所から言われて切ったとしても、今文句なんて言ったところであの髪が戻ってくるわけない。


ヒョンたちもそれをちゃんと分かってるから、もう褒めるしかない。実際似合っていない訳ではない。



でも、それでも僕はなんだかすごくショックで、ヌナの存在が否定されたみたいで、ヘラヘラと笑っているヌナを見れなかったし、何も言えなかった。


多分これは怒ってるんだろう。僕は今、ヌナに対して怒りの感情を覚えてしまっている。

.→←サバイバルのちょっと前の話



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作者名:ゼロ | 作成日時:2023年3月10日 22時

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