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｢ヒョンジンの隣にしか居られないよ｣
｢確かに、みんな隣にいるのちょっと嫌がるかも！｣
みんながAヌナの隣を避けるように立つ姿を想像したらなんだか面白くて笑ってしまう。スンミンくらいならまだ大丈夫だろうか？
｢じゃあ今日はずっとおれの隣にいてよ。いつもの立ち位置もちょうどおれとスンミンの間だし｣
｢確かに……！｣
｢しかも今日みんな身長かなり盛ってるしそんなに目立たないよ｣
｢そうだといいけど……｣
そう言って歩くヌナはいつもよりゆっくり。コツコツと気品ある音を鳴らして歩くヌナは本当に美という言葉が似合う。
｢久しぶりにこんな細いヒール履いたよ。慣れるのに時間がかかりそう｣
｢普段厚底とかだもんね。よくそれで歩けるよね、ほんとすごい｣
｢なんなら練習生の頃はこれで踊ってたんだよ。信じられないよね｣
ヌナは練習生の頃から一際高い身長で目を引く存在だったなと思い出す。その時はまさかこうして同じグループで活動することになるなんて思ってもいなかった。
練習生期間が長いチャニヒョンとヌナは昔から仲が良かった。SIXTEENで落ちてしまい、その後も色々あってなかなかデビューできない状態のヌナが辞めそうになっていた時にヒョンが上に頼み込んで、2人を中心にこのメンバーを集めてグループを作ったらしい。
｢ヌナは、こうやって綺麗なドレスとか、かわいい衣装をもっと着たいって思う？｣
何となく聞いてみた。ヌナは初期からいるけれど、StrayKidsは授賞式等のノミネートではボーイズグループという分類になっている。コンセプトや衣装も全てもボーイズ寄り。
元々結構中性的な顔立ちをしているし、身長も高いので短髪の時にヌナを初めて見た人はきっとほとんど中性的な男性だと思うだろう。
でもヌナだって元々はガールズグループでのデビューを目指していた女の子だ。たまに自分が考えても無駄な事だと分かっているけどヌナはここでデビューして良かったのかと思うことがある。
｢素敵だなと思うけど、私はスキズのコンセプトが気に入ってるから｣
そう言って笑ったヌナ。ヌナがスキズのことを誰よりも愛しているのは分かってるのに、愚問だった。
でもこうしてたまに着るドレスも凄くいいから、ほんのたまにでいいから着て欲しいなぁなんて。
｢ヌナ、今日はおれがエスコートする｣
おれが差し出した手に、ヌナは少し恥ずかしそうにはにかみながら白くて細い手を重ねた。
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作者名：ゼロ | 作成日時：2023年3月10日 22時
