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｢おかえりヌナ！どうだった？｣
ヌナが日本での仕事を少しずつ再開してから数ヶ月経ったある日。いつもと同じようにヌナの帰国をヌナの宿舎で待っていた。今日は1人で。
｢うん。楽しく撮影してきたよ。お土産｣
ヌナから手渡された日本のお土産。基本お菓子系。それと出来上がった雑誌。いつも通りありがとうと受け取って、早速ヌナのページを探して見る。日本語だから何が書かれているかほとんど分からないけれど、ヌナのインタビューは本人に訳してもらってる。恥ずかしそうに翻訳するヌナを見るのも好きだから。
｢それでね、ヒョンジナ｣
夢中になって雑誌を読んでいたおれに、ヌナは少しだけ申し訳なさそうに声をかけた。
｢専属モデル、今回で卒業みたい｣
｢……えっ｣
｢ほら、カムバもあるしやっとツアーも始まるし、すごく忙しくなるからそろそろ卒業かなって話になって｣
今現在、おれたちはかなり日本でも人気になっていて、ヌナだけじゃなくておれたち全員で雑誌の表紙を飾ることも増えた。
雑誌の仕事を受けているヌナの目的はスキズの名前を知ってもらうこと。だからいずれ卒業することは分かっていたし、ツアーなんて始まれば世界を飛び回るのに撮影する時間すら取れないのは当然。
だけど急に言われて、もう毎月こうしてモデルのAヌナが見れなくなるという事実がちょっとだけ受け入れられない。こっちの仕事でも雑誌のモデルはあるが、毎月なんかじゃないし。
｢ヒョンジンが一番こうやって日本の雑誌のモデルをしてる私を見るの楽しみにしてたから、言い出しづらくて｣
｢確かに寂しいけど……ううん。Aヌナ、お疲れ様｣
｢ありがとう。ヒョンジンが楽しみにしてくれてるからって思って毎回気を引き締めて撮影できた｣
ヌナがその分おれたちと一緒にいられるって思えば全然寂しくないし、あれ、でもそしたらこの合鍵はお役御免？それはさすがに寂しい。
｢あ、合鍵はそのまま持ってていいよ。前にも言ったけど誰か1人は私の宿舎の鍵持っててほしいって思ってたし、最近は作業室に籠りっぱなしだから｣
｢ほんとに！？｣
｢うん。私がいない間も宿舎にいてくれてありがとう｣
｢これからも泊まっていいよね｣
｢もちろん｣
来月出るらしい専属モデルAヌナの最後の雑誌は自分でも取り寄せしてみよう。
今日は本当は帰る予定だったけど、もっとヌナと居たいしこのまま泊まっちゃおうかな。ヌナも笑って許してくれるだろう。
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作者名：ゼロ | 作成日時：2023年3月10日 22時
