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それからヌナが日本に行っている間はほぼ毎回ヌナの宿舎に泊まりに行った。一人で行ったり、2人で行く時は大体イエニと。何回かだけ同い年の4人とイエニで泊まったこともあって、ヒョンたちも特に何も言わず送り出してくれる。この前は暇そうにしてたリノヒョンも連れていった。
流行病が猛威を振るいだしてからはヌナも日本に行けなくなって、韓国のスタジオで撮影したものを日本に送って……と仕事を続けていた。それができるなら最初からそうすれば良かったのに！なんて思ったが、まぁそれとこれとじゃワケが違うんだろう。
｢雑誌の中のヌナはちょっと違う人に見えるね｣
｢メイクとか、かなり違うからね。モード系って言うんだっけ？そういうの｣
自分がモデルをしてるのにこっちに聞いてくるAヌナ。今開いているページに映るヌナのような、ユニセック スな衣装のヌナはよく見慣れているものの、かなり際どいタイトな服だったり露出の高い服を着た女性らしさを全面的に押し出しているコンセプトのAヌナはこっちでは見られないから、毎回発売された雑誌がヌナの手元に届いた時に見に行くのが楽しみだった。
こんなにかっこよく、周りの本業のモデルの人にも引けを取らないスタイルだと話題になっているヌナが誇らしい。ヌナの元に届いた雑誌はおれが必ず持ち帰ってスクラップしていた。
｢そうだ、ようやくビザが降りたから日本で撮影再開できるみたい｣
｢そうなの？じゃあまた前みたいにいなくなっちゃうんだ｣
｢頻度はかなり少なくなるけどね。それで、宿舎変わってからまだヒョンジンに渡してなかったなって｣
昔と同じように、手のひらに置かれた鍵。この鍵は見たことある。
｢宿舎は棟が違うだけだし、もうみんな一人部屋だし必要ないかなって思ったんだけどとりあえず誰かには渡しておこうかなって｣
｢え、全然泊まるよ！一人部屋っていってもスリラチャさんたちいるし、イエニとかスンミンたちとも離れたから尚更一緒に泊まったりしたいし｣
｢そうだったね。また自由に使って。絵描いたりしてていいし、描いたら飾ってね｣
｢Aヌナ、もうおれの絵飾りすぎてスペースなくなっちゃうじゃん。個展みたいだよ｣
｢気に入ってるからいいの｣
俺の頭をわしゃわしゃと撫でたヌナ。ヌナがいる時に泊まるのといない時に泊まるのは、また違った楽しみがあるから嬉しいけど、またしばらくヌナに会えなくなるのはちょっと悲しかった。
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作者名：ゼロ | 作成日時：2023年3月10日 22時
