授賞式 ページ4
Hyunjin
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レッドカーペットのため準備中。今日の衣装は全員黒いスーツなので、黒ずくめの男たちが楽屋に集まった。
8人は準備がほとんど終わって、あとは別の楽屋にいるAヌナを待つだけ。
ヌナが準備をするための楽屋が別で用意されるくらいまでになったのは本当にここ最近のことだ。
まだ知名度が低い新人時代の頃なんてそもそも楽屋自体なかったし、あったとしても狭い部屋1つだけで、ヌナはその建物の空き部屋や人通りの少ない通路を必死に探して着替えていた。
ドアが開く音がしてヌナも準備が終わったのかと思ってそちらを見ればそこに居たのはAヌナではなく、そのヌナの準備を担当していたスタイリストのヌナだった。
｢Aの衣装が解れてて……｣
焦ったような顔をしてこちら側にいた別のスタイリストのヌナを呼んで話している。みんなそちらに注目していて静まったから、話の内容は普通に聞こえてしまう。
大事そうに抱えていたのはヌナが今日着るはずだったっぽいスーツ。どうやらパンツが破けている？とかほつれている？とかなんとか。
｢確認が甘かった……どうしよう。この衣装予備もないの｣
｢スンミンかヒョンジンあたりの予備のスーツを着てもらう？｣
｢って思ったんだけど身長は合ってても体格がちょっと｣
｢うーん……そうだよね｣
Aヌナの着る衣装が無いってことらしい？レッドカーペットはもうすぐだし、なかなかまずい状況なんじゃないだろうか。
メンバーのみんなも少し不安そうに会話を見守る中、Aヌナ担当の方のヌナがあっと声を出した。
｢そういえば、私たちギリギリまでパンツスーツかドレスか悩んでたじゃない｣
｢……あっもしかして｣
急に顔を明るくさせた二人がそれはそれは風のように一瞬で楽屋を出ていった。残されたおれたちはぽかんとアホみたいな表情を浮かべてしばらくドアの方を見ていた。
｢Aヌナ、大丈夫かな｣
隣でネクタイを巻いていたヨンボクがポツリと呟いた。出ていった時の顔はそこまで深刻そうな顔してなかったし、まぁなんとかなるんじゃないかな。
｢平気だと思うよ｣
今はこんなこと言っているけれど、みんなが違う意味で全然平気じゃなくなったのはあと数十分後。
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作者名：ゼロ | 作成日時：2023年3月10日 22時
