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｢ほんとだ柔らかい……いやチャンビンだから？｣
｢失礼だな！力入れた筋肉も触りなさい｣
腕を曲げて力を入れ盛り上がった上腕二頭筋を触らせてどうだと言うと、おぉ硬い……と感嘆の声を上げたヌナ。
｢どうしようチャンビナ、この感触癖になる｣
｢くすぐったいんだけど……｣
力を入れていない筋肉の感触にハマってしまったらしいヌナ。このままだとAヌナは永遠に俺の筋肉を揉みしだく変態と化してしまう……いやもう手遅れか？
｢で！ヌナなんでこっちに来たの！｣
なんとか気を逸らそうと最初に聞くべきだった質問を投げかける。急に我に返ったヌナがそうだ、とやっと俺の腕から手を離した。
｢胸肉貰いたくて来ました｣
｢えっそれだけ？｣
｢うん。切らしてたの忘れてて……｣
｢なんだよぉそれだったら尚更俺に直接連絡してくれれば良かったのに！｣
｢もしあんまり在庫がなかったら申し訳ないでしょ？チャンビンならその場合でも私に譲ると思うし｣
随分見透かされてるなぁ。これがほかのメンバーだったら譲らないけど。
ヌナは基本ストイックすぎるから、減量しろと上から言われればその通りに期限までにしっかり絞ってくるし、逆に増量しろ、筋肉をつけろと言われればそれもどうにかして達成する。
俺はそんなヌナのことをすごく尊敬しているわけで、俺が増量を始めてなかなか結果が見えてこなかった時なんてヌナの存在にこれでもかと言うくらい救われた。
時々、唐突に人格が変わったかのようにジャンクフードを食べ漁るヌナも知ってるけど。
｢もう冷蔵庫みた？｣
｢ちょっと覗いた。いっぱいあったね｣
｢そう。だからたくさん持ってっていいよ｣
｢少しだけ頂くよ。チャンビナ、夜ご飯はまだ？｣
｢今から俺もそれ食べようかと思って｣
｢ナイスタイミング〜もうちょっとだけ待てる？｣
｢えっ、待てるけど！｣
ヌナが冷蔵庫から胸肉を二人前取り出して笑顔でこちらに待てるかと問いかけてきた。
まさか、そのまさかだけどヌナが何か作ってくれるってことでいいのか？
どんなものを作ってくれるのかとドキドキしながら俯いて、手伝うと言えば大丈夫だとあしらわれたので大人しく待つことにした。
｢チャンビナ〜出来たよ｣
ヌナによってテーブルに置かれた数枚のお皿。さほど時間はた経っていなかったはずなのに、あの生のプリプリの胸肉は美味しそうな匂いを漂わせ数品の料理に変身していた。
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作者名：ゼロ | 作成日時：2023年3月10日 22時
