茶熊学園2018:13 ページ28
手の甲に埋め込まれたルーンは赤黒く光る。
明らかにいつもと様子が違った。
いつもはもっと綺麗なんだ。
これまでで光ったことだって一度も無かった。
Aはそのルーンを見て思った。
___これ以上はやってはいけない。
『ごめんね皆。授業に戻ろうな!私もいくよ』
何処か震えた声でそう言ったAの言う通り、皆教室に戻ろうと後ろを向いた。
そんな中二人ほどその場から動かない人が。
「Aさん、怪我してますね…よろしかったら保健室まで来てくれませんか?」
「私もご同行します!レインのせいでこうなったもんなので!」
それはルカとルウシェだった。
二人は口ではそう言っているが、何処か心を見透かされているようで。
素直に従う他無かった。
____
『ごめん、授業中止にしちゃって。』
「気にしないでください!」
飛んできた竹刀の欠片で切れた頬や腕に消毒を塗り、絆創膏を貼る。
どれもたいした傷ではないので、すんなりと手当てはすんだ。
すんだはず、なのだが。
『あの、包帯を出す必要は無いんじゃないかな?』
「いいえ、必要ですよ!」
「バイ菌から傷を守ったらーいっ!!」
絆創膏や湿布の上から、様々な場所に包帯をグルグルと巻きだした。
素早いのに何処か手際がいいので、流石保険委員だなと思いながらも、やっぱりこんなにいらないよねと頬に汗をかきながら思った。
「少しだけ、失礼しますね。」
『?』
Aがなんのことだろうとぽかんとした顔をすると、ルウシェはAの腕を掴んだ。
それもルーンを埋め込まれている方の。
そこをマジマジとルウシェは見つめる。
そして包帯を巻き始めた。
「表情に出ています。少し、このルーンを恐れているのですね。他のところにも包帯を巻いたので、なんで巻いているのかは言い訳できますよ」
もし聞かれたら手当てが大袈裟だった。とでも言ってください!
ルウシェはそういって包帯を巻き終えた。
『………なんか、気を使わせちゃったみたいで、ごめん。』
「謝らなくてもいいですよ!私が勝手にやっただけなので!」
ルウシェが笑顔で手を振ると、ルカもそれにあわせるように首を縦にブンブンと振った。
「じゃあ、教室、戻りましょうか!」
ルカにそう言われ、三人はパタパタと廊下を駆けていった。
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きり。雑食(プロフ) - ココアさん» コメントありがとうございます!現在今更すぎる茶熊2018編を更新中ですので、こちらが終わるまでヴァイスとの絡みは少々お待ちください…! (2020年3月12日 2時) (レス) id: 330208c88e (このIDを非表示/違反報告)
ココア - ヴァイスとのお話を書いてくれてありがたいです!私、ヴァイス推しなので、とっても嬉しいです!できればヴァイスとのお話をたくさん書いてほしいです!お願いします! (2020年1月21日 21時) (レス) id: 39ea8a8c3c (このIDを非表示/違反報告)
きり。雑食(プロフ) - はい、あけましておめでとうございます。自分がゼロキスを好きなので、ゼロキスと言いたいところではありますが、落ちはありません。楽しみにしていただけ、嬉しい限りです。コメントありがとうございました。 (2019年1月9日 20時) (レス) id: 6b4174ea0a (このIDを非表示/違反報告)
フェリナ - 遅いけどあけおめ!白猫小説少ない中でこれ好きだ〜!楽しみに待ってます!あと質問これ落ちとかあるんですか? (2019年1月9日 17時) (レス) id: 04e428e6d7 (このIDを非表示/違反報告)
きり。雑食(プロフ) - 愛音さん» あけましておめでとうございます。喜んでいただけてなによりです。現在端末が故障しており、更新に苦戦しておりますが、待っていただけると幸いです。コメント、ありがとうございました (2019年1月2日 14時) (レス) id: 6b4174ea0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きり。雑食 | 作成日時:2017年6月17日 6時