好きというには重すぎる【降谷零】

Time.100 ページ50

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「そう、ですよね すみません 忘れてください」



泣くな こんな所で泣くわけにはいかない

そうだよな 生きて再会できただけでいいじゃないか

こんな僕のエゴを押し付けるようなことをしてはいけない

…僕の愛したAAは 7年前にもう─



「それも嫌よ」

「…は？」

「その…同期だったって話は気になるから聞かせて欲しい
諸伏景光だっけ？あの人も同い年だったけど…同期なの？」

「あー…リリーだから話すんですよ 誰かに洩らしたら無理心中でも何でもしますからね…
…景光も同期で僕の親友です 小学校の頃からずっと一緒でした」

「…いいね、幼馴染とか羨ましいなあ 他にも仲良い同期いたの？」

「爆発物処理班に2人…松田陣平と萩原研二が 捜査一課に伊達航…みんな殉職しましたけどね
貴方の吸ってるその煙草は松田が吸ってたのと同じです
それとバイク…ホンダCB250Rは警察学校時代に萩原とバイク店に行った時も気に入っていたらしいです」

「へえ…記憶をなくしても無意識のうちに面影を探してたのかしら…その大切な同期の人達を
…でも全く思い出せそうにないわ やっぱわたし、死んでるみたい」



そういった彼女の目は─優しかった

それは僕が探していたAAの表情で



「…貴方だけ素顔暴いてるのも申し訳ないわね
私は浦瀬A …本名はA・ヴィンヤードになるのかしら？ちょっと考えたこと無かったから分からないけど…
年齢は29歳だし大学は通ってないしバイトもしてない
コードネームはホワイトリリーで好きなお酒はバーボンウイスキーのハイボール
…これからもよろしくね、降谷零さん」

「ああ…よろしくな、ホワイトリリー」



…きっと僕らはまた友達になれる

記憶がなくったって生きているんだ

だから やり直せるはずだ

例えその環境が前とは真逆だとしても

…そう信じて彼女が差し出した手を握り返した



「というかそのウイスキーなんですか？」

「バーボンとスコッチとライ NOCトリオ買ってきちゃった♡」

「貴方趣味悪いですね…僕スコッチしか飲みませんから」

「…じゃあライ捨てるわ 私この味嫌いなのよね」

「是非そうしましょうもう一生飲まないでください」



くだらない話をして

たまに出掛けて

ちょっと汚い仕事して

深夜にお酒飲んで

朝は一緒にご飯を食べる


彼女とならそんな生活も悪くない気がする

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