好きというには重すぎる【降谷零】

Time.064 ページ14

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「…昨日も倒れてましたけど 大丈夫ですか？」

「あはは…大丈夫です…」


彼女は次の日もやってきた

連日で来るなんて思っていなかったから吃驚してまた皿を割った

昼のピークの時間帯

店内に響いた大きな音にお客さんは一斉に僕を見る


「安室の兄ちゃんが皿割るなんて珍しいな 大丈夫か？」

「すみません…ちょっと水で手が滑っちゃって…」

「全くもう…昨日からなんか変ですよ？
ほら、片付けたらハムサンドとブレンドお願いします！」


ああもう しっかりしろ安室透

こんなんでよく公安が務まるな…風見に何も言えないぞ

チラリと彼女を盗み見る

ブロンドの髪にちょっとつり目なミントグリーンの瞳

間違いないはずなんだが…仕草が僕の知るAと一致しない

なんというか態度が悪い 迷惑的な意味じゃなくて

頬杖つきながらスマホ見る人ではなかったよな？

そういえば何か大事なことを忘れている気がする

あれも確か萩原の─


「安室さん！！コーヒー零してます！！」

「…あれ、本当だ」

「本当だじゃないですよ！ もおーなんで急にポンコツなんですか！」


ポンコツ…ぐうの音も出ない

思い出しかけた記憶もどっか飛んでいってしまった

エプロンに零さなくて良かった…コーヒーの洗濯は少々面倒だからな


「今日はもう私がキッチンやるんで安室さん接客に回ってください！立ち入り禁止です！」

「そんな…」

「そんなじゃないです！ほら早く届けて！」


梓さんがササッと入れ直したブレンドコーヒーとハムサンドをトレーに乗せる

…あれ、このふたつって浦瀬が注文したやつじゃないか？

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