脱走7 ページ7
紅丸の事が恋愛的な意味で好きか、と言われれば、私はYESとは答えられない。
紅丸とは、2歳しか歳が違わないこともあって友達や兄妹のように接してきたからだ。
恋もしたことがないから、異性を好きになるということがあまりピンと来なかった。
紅と一緒に寝たり、身支度するのは小さい頃からちょくちょくあったし、別段、特別な事でもない。
そんなに恋仲に思われるほど、不自然な接し方をしているだろうか?
皿洗いをしながら、そんなことを考えていた。
いやいや、紅と私が恋仲とか(笑)
「おい。」
ヒナヒカはきっと遊び相手が欲しいからあんなこと言うんだよ、きっと。
「おい。」
紺炉さんは、あれだな。若に落ち着いて貰いたいっていうので言ったんだろうな。そう思うことにしよう。
「おい!」
『はぁー!!』
大きな声にビックリして茶碗を放り投げる。
あ、割れる!
──ボゥっと音がして、焦げた匂いがした。
茶碗が炎を出して、浮いている。
「ったく、何ボケっとしてやがる。」
『ごめんごめん、ちょっと考え事してて………。』
紅丸の能力で九死に一生を得た茶碗が私の手にやってくる。
『あ、朝ご飯だよね。温め直すから、座っててもいいよ。』
手の泡を洗って、2回目の朝ご飯の準備をする。
「……紺炉は?」
『この前まとめて頼んでおいた薬取りに行くって。ヒナヒカもお菓子買いたくて付いてったよ。』
「…ん。」
紅丸は座らないでずっと私の後ろに立っていた。
後ろに立たれると、プレッシャーを感じるんだが………。
魚を焼いていると、紅が肩に頭を乗せてきた。
『…お・も・い〜〜…。』
猫みたいにグリグリしてくる。
まだ二日酔いが抜けてないんだろうか?
『ご飯これくらい?』
「ん。」
見てないな、適当な返事だな。
何も言わないから、とりあえずいつもの量を盛った。
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作者名:ウィンぷす | 作成日時:2019年9月30日 21時