そこをどこうか？紅丸さん (ページ35)

今日:41 hit、昨日:6 hit、合計:456,757 hit

捕獲35 ページ35

「A。」

名前を呼ぶと、Aが振り返った。

「べにまるー！」

Aの笑った顔は、何処か幼いように感じた。

「べにまる！」

Aは俺に抱きついて笑っている。

Aは、何も知らないのだ。

「ごめんな、A。」

『べにまる？ないてるの？』

.
.
.
.

それから、小さなAとの生活は続いた。

今まで聞けなかった、Aのわがままを出来るだけ叶えてやるために過ごした。

あれが欲しい、これが食べたい、あそこに行きたい、それをしたい。

きっとAは、幼いにも関わらず、沢山の我慢をしてきたんだろうと、その時思った。

身寄りのないという理由で、第7に預けられたA。

肩身の狭い思いをしていたに違いない。

Aのわがままを聞いて、やっとそれに気付いた。

発火能力を面白がって使い、今ではほとんど操れるようになっている。

それでも、Aは元には戻らなかった。