脱走4 ページ4
私がヒナタとヒカゲの髪をとかす。
紅丸は2人の髪を結う。
これが朝の日課だ。
「ひゃっはー!!」
「早くメシ作れよーAー!!」
2人は嵐のように去っていった。
「おら、貸せ。」
紅丸は強引に櫛を私の手からもぎ取って、髪をとかしてくれた。
別に1人でも出来るのに、といつも思っているが、ここで紅丸の機嫌を損ねる訳にも行かず、いつもやってもらっている。
いつもの荒い鎮魂からは想像のできない、優しく柔らかい手つきで髪を結うのだ。
「ん。」
『ありがとう、紅。』
やってもらった後は、お返しをしなくてはならない。
紅丸から受け取った櫛で、今度は彼の髪をとかす。
サラサラだし、すぐにクセが直るからいらないはずなのに、いつも私にやらせたがる。
『いいよ、出来た。』
「お〜………。」
紅丸はまだ半分眠っているのか、やけに素っ気ない返事をした。
『まだ早いし、寝てたら?昨日も遅くまで呑んでたんでしょ?』
昨日は、確か勘太郎と呑んでたんだっけ。
「…………。」
『無視ですか、若。』
「………その呼び方、やめろ。」
『ハイハイ。』
どうも、紅は私が若呼びするのが気に食わないらしい。
話しかけても、それ以上返事がなかったので、朝ご飯を作る事にした。
282人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ウィンぷす | 作成日時:2019年9月30日 21時