そこをどこうか？紅丸さん (ページ30)

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監視30 ページ30

Aが眠り続けて1ヶ月が経とうとしている。

紅は仕事をしてはいるが、心ここに在らずと言った感じだ。

暇さえあれば、Aの所に行き、いつ身につけるか分からない着物や簪を置いていった。

Aの不在は紅だけでなく、隊員や街にも影を落としていた。

紅は毎晩Aの部屋に行き、今日あった出来事をAに聞かせていた。

「うん、熱は下がったし、あとは目が覚めるだけだな。」

医者はAの状態を見て、そう言った。

「灰病は！？大丈夫なのか！？」

「ああ。突然、発火能力を酷使したもんだから、体が驚いてオーバーヒートを起こしたんだろう。訓練していけば使いこなせるようになるさ。」

紅はあからさまにほっとした。

「……ただなぁ。頭を強く打ってるから、目覚めるのがいつかはわからんよ。もしかしたら、このまま目覚めないかもしれないし、目覚めても記憶が無くなってるかもしれない。今まで通りの生活を送れる確率はかなり低い。」

「そうか…………。重ね重ね、世話になったな。」

「いんや、これくらいなんて事ないよ。儂は診療所に戻るから、何かあったら呼んどくれ。」

医者は大きな鞄を持って屯所を出て行った。