続き ページ43
「──早い段階でそれがわかったからうちのマネージャーさんは血液をサラサラにする薬を処方されて、生活指導されるだけで済んだんですよ」
「あっぶねーな、それ。脳梗塞って診断されてたらマネージャー入院してたってことだろ」
江口は安元洋貴とのラジオで先日の出来事を話した。
「雪城さんかー、監督がよく名前を出すから俺も一度話してみたいとは思うんだが…時間が合わない」
「俺らの収録が終わる頃にはもういませんからね…」
「いやー、でもそろそろ捕まるんじゃないかと思うんだよね」
何せ、あの石田彰までもが今雪城さんを探してるらしいから。
「石田さんが！？」
「“声優界の黒子テツヤ”って言われてるよ、雪城さん」
「声優界の黒子テツヤ！？www」
見つかんないじゃないですか！それ！！
「それで興味を持った小野賢章も探してるという(笑)」
「wwwwww」
「…で、誰が最初に雪城さんを飲みに誘えるか軽く競争になってるわけで」
お前雪城さんを見たんだろ？どんな人だった？
「安元さん、飲みに誘ってきた本当の理由はそれですか？」
「いや、石田さんには聞けないだろ。それ以外だとお前か梅ちゃんと信長くらいしか雪城さんの顔を覚えてないんだよ」
「え、梅ちゃんと信長くん？」
「あの2人、雪城クラスタだから」
「え！？」
「江口、一度雪城さんの芝居見た方がいい。理想の脇役ってのが多分わかると思うから」
──…
ある日のアフレコ現場で、斉藤壮馬が人にぶつかられ後方に倒れそうになる。
「！」
「壮馬っ！」
木村良平が手を伸ばすがその手は空を切った。
「(倒れるっ…！！)」
「──わっ…」
しかし感じたのは床に叩きつけられる痛みではなく、力強い温もりだった。
「………？」
恐る恐る目を開けると自分の膝が目に入る。
「……、あの…大丈夫です？」
頭上から聞き心地の良いアルトの声が聞こえた。
「？……！？」
中性的な(多分)女性に壮馬はお姫様抱っこされていたのだ。
「(え、え！？)」
「…よいしょ、」
女性はゆっくり壮馬を降した。
「怪我は…なさそうですね。良かったです」
「は、はい…ありがとう、ございます…？」
「気にしないで下さい。では、私はこれで」
失礼します。と、女性は一礼してスタジオを出ていった。
『…』
その場にいたキャストたちは暫く呆然としていたそうな。
後にこの事件は“斉藤壮馬お姫様抱っこ事件”と名づけられ、声優の間に広まるのであった。
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ふぃぎー - はじめまして､柚子ポン酢さんの創る設定や話がとても好きでいつも楽しく読ませていただいています｡最近ハマり始めたのですが､声優さんのネタ､面白かったです｡突然の書き込み失礼しました｡ (2019年10月31日 22時) (
レス) id: d93ef650b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚子ポン酢 | 作成日時：2019年10月27日 11時
