続き ページ32
夢を見ることが多くなったせいか、柚希はいつにも増してぼんやりとしていることが多くなる。
｢──ということなんだが…柚希？｣
｢！…うん？｣
｢おいおい、大丈夫か？ちゃんと話聞いてたのかよ｣
｢……血涙の泉の調査範囲を広げる。崩壊都市の中心部から東をルイと私、西をヤクモとミアで探索する｣
｢…聞いていなかったわけではなさそうだな｣
だが、とルイは前髪から覗く赤い目に僅かな鋭さを宿して柚希に詰め寄った。
｢俺は血涙の泉の調査範囲を広げるところまでしか話していないんだが？｣
｢……｣
｢今回ばかりはその頭が裏目に出たなぁ｣
｢…で、何があった？今日はいつにも増してぼんやりしているぞ｣
｢………ちょっと、変な夢を見るだけ｣
私は夢を見るわけがないのに。
｢(…ん？どうして、私は夢を見るわけがないって思った？)｣
探索で、血涙を回収した…そのとき。
《──》
｢？｣
何かに呼ばれたような気がした。
｢どうした？｣
｢…今、誰かに呼ばれたような気が…｣
《──…！》
また、だ。
その声に誘われるように柚希は歩き始める。
｢柚希？｣
フラフラと歩き出した柚希に気づいたルイが声をかけるが、柚希は足を止めない。
辿り着いた先に…紫の花が咲いていた。
｢こんなところに、花…？｣
ルイが訝しげにそれを見るのを他所に、柚希は何かに誘われるように花に近づく。
｢待て、不用意に近づくな！｣
嫌な予感がしたルイは声を上げるが1歩遅く、柚希が紫の花に触れた瞬間…柚希を取り囲むかのように花びらが舞い上がった。
｢柚希！！｣
咄嗟にルイが柚希の肩を掴んで引き寄せる。
──やっと、見つけた。
｢(……なんだ、この…爽やかなのに聞いただけでクズだとわかる声は)｣
｢柚希！しっかりしろ！！｣
｢……ル、イ…｣
柚希は急激な眠気に襲われ、そのまま意識を失った。
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ふぃぎー - はじめまして､柚子ポン酢さんの創る設定や話がとても好きでいつも楽しく読ませていただいています｡最近ハマり始めたのですが､声優さんのネタ､面白かったです｡突然の書き込み失礼しました｡ (2019年10月31日 22時) (
レス) id: d93ef650b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚子ポン酢 | 作成日時：2019年10月27日 11時
