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“皆さん、こんにちは!イベントに先立ちまして、私碧棺合歓が注意事項を説明します”

──徳田さんの声だ!!

──今日来てるのかな?

──影ナレは別日収録のときもあるし、どうだろ?

“…以上を守って、今日のイベントを楽しんで下さい!”

──…
影ナレを終えた柚希は舞台袖の隅っこでイベントを見守っていた。

「(…このまま、声優から退いて作家に専念するのが、いいのかもしれない)」

自分の世界だけに引きこもっていれば、…もう誰にも迷惑をかけることはない。

──柚希

──徳田さん

──徳田先生!

「(…寂しくは、あるけど…)」

柚希はステージから目を逸らし、顔を俯ける。

…その瞬間、

「…実は今日、もう1人キャストが来てくれてます」

浅沼の声が聞こえた。

「誰よりも才能があって、誰よりも努力家で、誰よりも優しくて、誰よりもファンのことを考えてくれてる…僕たちにとって大切な人です」

でも、ある事件をきっかけに彼女はファンの皆の前に立つ事を怖がってます。

「…皆で、呼んであげて欲しい」

──『徳田さーん!!』

──『先生ぇー!!』

「!?」

ステージから自分を呼ぶ声が聞こえ、思わず顔を上げた。

…いつの間にか、浅沼と斉藤が目の前に立っていた。

「し、晋太郎さん、壮馬くん…?」

「柚希、行こう」

「大丈夫!俺たちがいますから!」

浅沼に手を引かれ、斉藤に背中を押されて柚希はステージに立った。

柚希がステージに現れると観客が大きな声援と拍手で出迎える。

「?、!?…!?」

「あっはは!凄く混乱してるwww」

「ほら、前を見てご覧」

速水に優しく諭され、柚希は観客席を見た。

──徳田先生!おかえり!!

──待ってました!!

聞こえてきた声は、全部…自分を歓迎する物だった。

予想外の反応に柚希は呆然とする。

「柚希、…声優になったこと、後悔してる?」

浅沼がオフマイクで柚希に声をかけた。

「…ごめん。でも、俺さ…柚希のことが好きだからどうしても引き留めたくなっちゃったんだ」

俺は、君と一緒にもっと色んなことをしたい。

「柚希は、どうしたい?」

「…私、は……私は、もっと色んな世界が見たい、です」

「──見ようよ、一緒に」

「っ、……はい…!」




(…晋太さん、今さりげなく告白してませんでした?)

(…でも、徳田さん…多分気づいて、)

(春くんしっ!)

(聞こえてんぞ山田三兄弟!!)

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ふぃぎー - はじめまして、柚子ポン酢さんの創る設定や話がとても好きでいつも楽しく読ませていただいています。最近ハマり始めたのですが、声優さんのネタ、面白かったです。突然の書き込み失礼しました。 (2019年10月31日 22時) (レス) id: d93ef650b8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柚子ポン酢 | 作成日時:2019年10月27日 11時

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