続き ページ37
東風谷は自室に戻ると鍵をかける。
扉に凭れて座り込むと、攻撃を受けた場所に鋭い痛みを感じた。
黒い感情がジワジワと溢れてくるのがわかる。
「…秋水、」
扉の外から尾崎紅葉の声が聞こえる。…どうやら、補修室を出た自分を追ってきたようだ。
「其方には、…もっと言いたいことがあったのではないか。我に話してみよ、其方の言葉が我に届かぬとは思わんだろう?」
「…紅葉、…私はどうしたらよかった」
開祖の文豪、原点にして頂点の文豪、全ての文学に影響を与えた文豪…そんなもの知らない。
私は頼まれたから武将列伝を編纂した。それだけだった。
何も凄いことはしていない、なのに…彼らは私を尊敬するような目で見てくる。
期待して、尊敬して…そして勝手に裏切られていく。
何も言えなくなった、何もできなくなった。私の何が彼らの琴線に触れてしまうか、わからないから。
「秋水、…北原門下とのことを気にしているのか」
「どう、かな…。…考えてみれば、一度死んだはずの私が遠い未来に転生するなんて夢の話みたいだ」
夢、…そうか…。
「…秋水?」
「これは、……全部夢だったのか」
きっと、目を覚ませばいつものように半兵衛殿、官兵衛殿、隆景殿に元就殿が軍略談義をしているだろう。
「、…いつまでも寝ていたら…怒られてしまうな」
「待て秋水、其方何を言っている」
「夢なら、…覚めないと」
その言葉を聞いた瞬間、尾崎の背筋を冷たい何かが駆け巡った。
「秋水!!ここを開けよ!秋水!!」
どんどん!と扉が乱暴に叩かれる音が響く。
しかし東風谷はそれに気を止めることなく立ち上がると刀掛けに置かれた太刀を手に取り、スラリと抜いた。
そしてそれを自分の首に添えると、…――躊躇うことなく引いた。
(秋水!!)
(紅葉先生?どうかされましたか、)
(鏡花!誰か呼んでこい!秋水の様子がおかしい!!)
(!た、ただちに!!)
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ユカ・フォルティア(プロフ) - はい、大丈夫です。こちらこそ、忙しいのに、答えてくださり、ありがとうございます。無理しないでください (2018年3月11日 11時) (レス) id: 4012e6ec36 (このIDを非表示/違反報告)
柚子ポン酢(プロフ) - ユカ・フォルティアさん» リスエストありがとうございます!ネタが浮かび次第、投稿しますね!おそらく、大和+官兵衛&長谷部になってしまうと思いますがよろしいでしょうか? (2018年3月10日 21時) (レス) id: ef6e283f53 (このIDを非表示/違反報告)
ユカ・フォルティア(プロフ) - こんにちは、あともう一個討鬼伝と刀剣乱舞、お願いしてもいいでしょうか?討鬼伝から大和、戦国無双から、黒田官兵衛、刀剣乱舞からへし切長谷部でお願いします。これからも、がんばってください。応援してます。 (2018年3月9日 13時) (レス) id: 375b0a6911 (このIDを非表示/違反報告)
ユカ・フォルティア(プロフ) - ありがとうございます!すごく良かったです。そっか、秋水さんは知っているんですね。 (2017年12月20日 8時) (レス) id: 4012e6ec36 (このIDを非表示/違反報告)
柚子ポン酢(プロフ) - 杙さん» コメントありがとうございます!もちろん賢王との絡みは書く予定です。FGOを始めたのはつい最近で、色々捏造が入りそうですがそれでもよければ末永くお付き合い下さい^_^ (2017年12月19日 21時) (レス) id: ef6e283f53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚子ポン酢 | 作成日時:2017年4月28日 21時