柚子ポン酢の備忘録：其の弐

・続き（ようやく再会） ページ27

谷崎兄妹を医務室に運び終え、鬼丸は福沢諭吉に報告をした。

「…太宰たちだけでなく、ポートマフィアの連中にまでバレてしまったか」

「……すみません。また、…迷惑を」

乱歩が浚われてしまったときのようなことが、また起こってしまうかもしれない。

「迷惑だとは思っていない。…鬼丸、社員を守ってくれてありがとう」

…あぁ、これだから私は…この人間たちから離れられないのだ。

「お前はずっと守る側にいたのだ。…たまには守られる側になっても罰は当たらん」

「…神に罰が当たるのですか」

「……当たるのか？」

「いえ、知りませんよ」

――…
人間の姿に戻り、武装探偵社を出ると出口に織田作之助が待ち構えていた。

「お疲れ。…いや、久しぶりというべきか――鬼丸」

「…」(太宰殿が、言ったのか)

「色々と、聞きたいことがある。…すまないが、一緒に来てもらうぞ」

ただならぬ織田の雰囲気に粟田口が一歩後ろに足を引いた、すると…

「逃げちゃだーめ。全て話してくれるまで、逃がさないよ」

背後から太宰が首に腕を回し、抱き着くようにして粟田口を捕まえる。

「…あなや、」

粟田口…否、鬼丸國綱はそう呟くしかなかった。

連れてこられたのは社員寮の太宰の部屋。

「…却説、色々と確認させてもらいたいのだけど…君はあのとき私たちの前から姿を消した“鬼丸”でいいのだね？」

「…えぇ、違いありません」

何を言われる。ずっと姿と名を偽って近くにいたことを責められるか…？

「太宰、」

「そうだね…鬼丸、私たちが一番聞きたいのは――社長と乱歩さんとどういう関係なんだい？」

…あれ、どこかで聞いたことがある質問だ。

「……え、と…偶然に偶然が重なって…？」

「あ、それは嘘だってことわかってるから却下」

「(何ですと…！？)」

「…正直に答えた方が身のためだ、鬼丸」

――元ポートマフィア２人に全てを吐かされました。

・続き（接吻の場所）→←・続き（正体露見する）

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す