柚子ポン酢の備忘録：其の弐

↑続きでもしポートマフィアに捕まってしまったら ページ3

江戸川乱歩の仕事の付き添いに中島敦と一緒についてきていた柚希は自分たちをつけている存在に気づく。

鼻歌を歌いながら駄菓子屋でお菓子を選ぶ乱歩は…これは、気づいていないな。

「(しょうがないなー…)…中島殿、乱歩を頼んでいい？」

「どうかしましたか？」

「んー…少し用事を思い出したってことにしといて」

頼んだよ。と柚希はさっさと２人とは違う方へと歩き去って行ってしまう。

――しばらくして、駄菓子屋から出てきた乱歩が柚希不在に気づく。

「？あれ、先生は？」

「少し用事を思い出したと言ってどこかへ歩いて行ってしまいましたよ？」

敦がそういうと乱歩は目を開き、周囲を見回した。

「乱歩さん…？」

「…真逆、僕が気づかなかったなんて…！」

「ど、どうしたんですか」

「急いで探偵社に戻るよ、敦くん」

――…
暗い地下で、柚希は目を覚ました。

両手には手枷がはめられていて、鎖に繋がれている。

「お目覚めか？探偵社の参謀殿」

「…その帽子に、男性にしては小柄な身長…太宰殿の言っていた中原中也殿、か」

「小柄は余計だ！！…あの糞鯖野郎、今度会ったら殺す…！！」

「そんなに気にする必要はないんじゃないかー…？私は君と同じくらいの身長の男性を知っているけど」

「…そいつ、年齢は？」

「あー…確か36だったと思う」

けど、あの人は下駄で身長を偽ってるからなー…。

「言ってやるな…どんな奴か知らねぇが、そいつもきっと身長を気にしてる。俺にはわかる」

「いやー…あの人の場合、身長よりも童顔と女顔をどうにかしないとどうにもならないと思う」

「童顔で女顔な低身長の36歳…！？」

どんな奴だよ…！？

「あー…ところで、何の用？私たち3人をつけていたようだけど、目的は私だろー…」

「気づいていたか。なら、話は早い」

そう言って中原は一瞬でAの前に移動し、重力を乗せたその蹴りを食らわせた。

「ガハッ…！」

「探偵社の参謀ともなれば、探偵社の重要機密も知っているはずだ。全て吐いてもらうぜ」

「ゲホッ……なーるほど、私か乱歩を捕らえる心算だったというわけか」

やれるものなら、やってみなよ。

「軍師が、…簡単に情報を吐くと思うな」

「その余裕な顔がいつまで続くか、見物だな」

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