柚子ポン酢の備忘録：其の弐

・２人を救うために ページ12

その後、太宰は死んだような目をするが半兵衛によって心をこじ開けられる。

「もう、君がそんなんじゃ２人を救うことができないじゃない。しっかりしてよー」

「…えぇ、目が覚めましたよ。ありがとうございます、半兵衛さん」

目に光が戻った太宰はすぐさま２人を救う手立てを考える。

まずは中原中也。

中也は陥落寸前のポートマフィア本部から森鴎外と尾崎紅葉によって逃がされた。

「…中也がポートマフィア本部を脱出することを阻止するには、ポートマフィア本部の陥落を防ぐしかありません」

「なんじゃ、それだけかの」

「それくらいなら、私たちに任せてくれたまえ」

一度見た敵の策に遅れは取らない、全て叩き潰してくれる。と森と尾崎は目にとてつもない殺気を宿す。

「えぇ、中也に関してはこれで解決するでしょう」

問題は、秋声です。

――徳田秋声がこの世界に来てからの足取りを知る人物がいない。

「そ、それじゃあ…秋声さんを救うことができないんですか…！？」

「否、糸口はある。…だろう？太宰」

乱歩が敦の言葉を即座に否定し、太宰に続きを促す。

「練師さん、妖魔が足を踏み入れようとしてできなかった土地の噂を聞いたことはありませんか」

「…心当たりがあります。凄まじい吹雪で閉ざされて、その地に足を踏み入れることすらできなかったと」

それが、徳田秋声さんと何か関係が？と練師は首を傾げた。

「恐らく、その吹雪は秋声の異能によるものです」

「え、その秋声さんって…吹雪を起こせるの？」

半兵衛が頬を引きつらせる。

「徳田秋声の異能“あらくれ”は自然を操る異能力…吹雪を起こすことなど、容易い」

「はー…異能力って本当、規格外だねぇ」

「――自然を操る、力…あの…俺、徳田殿と会ったかもしれません」

そう名乗り出たのは蜀の軍師・徐庶であった。

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