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今、彼は何を考えているのか。私の事を忘れてしまったことは確かだろう。

『始、ごめんなさい…ごめん、ごめんね。』

ガチャンと大きな音を立てて金属が擦れる。手枷を振り払って今すぐにでも私を襲おうとしているような、そんな勢いだ。間にある強化ガラスさえ無いものにしてしまいそう。

あの事故でショックを受け、ジョーカーの本能が始の全てを飲み込んだ。BOARDの地下奥深くで彼と会う度に私は謝り続け、毎度泣いては、橘さんや睦月くんを困らせてしまっている。

「もう謝るのはよせ。……始は分かってくれているはずだ。」

『でも…。』

この施設に足を運ぶのが苦しくて仕方なかった。だけど向き合わなければならない事だと分かっている。

『ねえ橘さん、少し…二人だけにさせてくれない?』

「……三十分だ。なにか危険があったらすぐにそのボタンで知らせてくれ。」

『ありがとうございます。』

部屋が静まり返る。私は一歩彼に近づいた。ガラスに手を置いて、三回ほど深呼吸をする。彼は鋭い目をこちらへ向けてじっとしている。まるで獲物を狙う獣のよう。

『もし…私が始の立場だったらって、ずっと考えてた。……数十年で命の終わりを迎える人間と濃い時を過ごすのは、いずれ来る別れが虚しくなる。…人の中で生きると、何年生きても歳を取らないことが逆に負い目になる。そう思った。』

始なのに、始じゃない。でも彼から逃げたくなかった。震える心を我慢して始を見つめる。

『だから、せめて貴方が始の心を取り戻すまでは…それまではそばにいさせて。それだけでいいよ、始の心を尊重したいの。』

・→←リク×♦いない、いない 相川始



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Akira_s2(プロフ) - YUKIさん» 返信遅くなりました💦リクエストありがとうございます。受付ましたが、お知らせもした通り、しばらくお待ち頂くことになるかと思います。ご理解よろしくお願いします😢 (5月3日 0時) (レス) id: 4fceb90968 (このIDを非表示/違反報告)
YUKI(プロフ) - リクエスト失礼します!ルパパトの高尾ノエルさんってできますか?出来たら高尾ノエルで死ネタをお願いしたいです! (4月14日 13時) (レス) id: 5825403805 (このIDを非表示/違反報告)
Akira_s2(プロフ) - スピカブラックさん» リクエストありがとうございます!更新まで暫くお待ちください☺️ (4月13日 20時) (レス) id: 4fceb90968 (このIDを非表示/違反報告)
Akira_s2(プロフ) - 恐ろしの竜さん» すみません!ありがとうございます😿 (4月13日 20時) (レス) id: 4fceb90968 (このIDを非表示/違反報告)
恐ろしの竜 - 書き込み失礼致します。小説内で「ドゴルド」が「ドゴルドン」に、「デーボス軍」が「デイボス軍」になっています...💦💦そこだけ気になったので訂正して頂けると嬉しいです。 (4月13日 12時) (レス) @page19 id: 42ee6c3683 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Akira_s2 | 作成日時:2024年3月17日 22時

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