真っ白な洗濯物と 菊池啓太郎 ページ7
『ほらみんな！洗濯物、もう洗うからね！』
ここは人間解放軍の基地だ。貧しいがインフラは何とか整っており、洗濯も水と洗剤だけはあるため、手洗いができる。みんなが真っ白になった洗濯物を身につけるのを見るのが、Aは好きだった。
「Aちゃん、いつも手伝ってくれてありがとう！」
『いいのいいの、前線に出られない私にできるのはこれくらいだし。』
Aは先の戦いで左の足が義足になった。彼女はもう戦場には出向くことの出来ない元兵士だ。
「…こんなこと言ったらさ、君にもみんなにも、銃を向けられるかもしれないけど。」
『ん、何？』
啓太郎は口をモゴモゴさせて中々言葉を発さない。
「ちゃんと帰ってくるかな？って心配しなくて良くなった…、俺にとって左の足は幸運に変わったんだ。ごめん、こんなこと言って。」
『啓太郎…、分かるよ、その気持ち。』
「え？」
彼は洗濯をする手を止め、しばらくAを見つめた。その視線に気恥しくなった彼女は、はにかみながら言葉を続けた。
『私も…、啓太郎とこれで最後だって、思わなくて良くなったから。……わかる。』
「俺たちきっと良くないこと言ってるよね。」
『そうだね、でも…私たちは生きているから、そう思うのが普通だよ。きっと。』
ちゃぷちゃぷと水の跳ねる音がする。仲間が泥にまみれて戦った服を洗えば、水はたちまち茶色く濁っていく。
「みんなの洗濯物が真っ白なまま、洗濯カゴに入れられる日は来るのかな。」
『来て欲しいね。』
二人は見つめ合って笑い、もう一度手を動かし始めた。
−−−−−
end
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Akira_s2(プロフ) - あめだまさん» リクエストありがとうございます！剣崎くん承知しました☺️更新までしばらくお待ちください (5月6日 21時) (
レス) id: 4fceb90968 (このIDを非表示/違反報告)
あめだま(プロフ) - 初めまして！コメント失礼します！仮面ライダー剣の剣崎一真って可能でしょうか？ (5月6日 17時) (レス) id: 4eb730f803 (このIDを非表示/違反報告)
Akira_s2(プロフ) - 陽炎さん» 読んで頂きありがとうございました！ (3月4日 22時) (レス) id: 4fceb90968 (このIDを非表示/違反報告)
陽炎 - 本当に素晴らしいお話をありがとうございます！ (2月28日 15時) (レス) id: e05c80d031 (このIDを非表示/違反報告)
陽炎 - リクエストに答えて頂いてありがとうございました！！ (2月28日 15時) (レス) @page19 id: e05c80d031 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Akira_s2 | 作成日時：2024年1月13日 23時
