リク きみに一番のドレスを ギラ・ハスティー ページ17
コーカサスカブト城のある一室、そこにはこれでもかと真っ白なドレスが広げられている。
『ね、どっちがいいと思う?』
「うーん、こっち。」
『…私はこっちかな。』
「ぼく達なかなか意見が合わないな。」
彼はギラ・ハスティー、シュゴッダムの国王だ。そしてその横でうんうんと頭をひねらせているのが、A、彼女はギラの婚約者だ。
『どれも一緒に見えてきた…頭クラクラする。』
「一緒なわけない!全部職人さんが心を込めて手作りしてくれたんだよ?」
『分かってるよ…。』
何度もドレスを試着して、選ぶに選べないでいる。メイドや側近たちは焦りを見せていた。それもそうだ、もうすぐまで迫った結婚式。あまり時間が無い。
「少し休憩しよう、その方がちゃんと良いのが選べるかも。」
王の言葉には誰も逆らえず、渋々走り回る使いのもの達は部屋を出ていった。Aは近くのソファに座り、溶けるようにクッションに落ちていく。
『はぁ、私がこんなに素敵なドレス着ていいのかな。』
彼女はギラと同じように城下町で育った一般市民だ。ギラと違うところは、王家の血筋のような立派な出身でもないところ。豪華で煌びやかなドレスに袖を通していいものかと、ずっと悩んでいた。
「A、ぼくの戴冠式、覚えている?」
『うん…、すっごくキラキラしてて、みんなに祝福されて、私も嬉しかった。』
「んふふ、そうでしょ?…だから、Aもみんなに認めてもらえるし、Aに一番似合うドレスを、ぼくが着て欲しいと思うんだ。」
『そう、かな。』
「そうだよ。」
胸を張ってとAに語りかけると、彼はそのソファに沈んだ頭を優しく撫でた。
『それなら、もう一度ドレスを見てみないと。』
ドレスの海の中を、踏まないように静かな足取りで進んでいく。
『これは、最初に着たドレス…。』
全体にレースがあしらわれ、大きなフリルが特徴的のものだった。裾が動く度に一つ一つ丁寧に付けられた、ビーズが光を反射して眩く輝いている。
「このドレス、すごく似合ってたよね。Aの優しい雰囲気にピッタリだ。」
彼女はそのドレスを見つめ続けた。まるで私を選んでと言っているかのように、そのドレスが目から離れない。
『分かったよ、あなたを選ぶ。よろしくね。』
豪華で煌びやかなドレスだ、しかしAはもう迷わない。ギラと一緒ならきっと幸せになれるはずだから。
−−−−−
end
リク おとぎ話 ジェラミー・ブラシエリ→←リク 紳士なプリンス ジーク
32人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Akira_s2(プロフ) - あめだまさん» リクエストありがとうございます!剣崎くん承知しました☺️更新までしばらくお待ちください (5月6日 21時) (レス) id: 4fceb90968 (このIDを非表示/違反報告)
あめだま(プロフ) - 初めまして!コメント失礼します!仮面ライダー剣の剣崎一真って可能でしょうか? (5月6日 17時) (レス) id: 4eb730f803 (このIDを非表示/違反報告)
Akira_s2(プロフ) - 陽炎さん» 読んで頂きありがとうございました! (3月4日 22時) (レス) id: 4fceb90968 (このIDを非表示/違反報告)
陽炎 - 本当に素晴らしいお話をありがとうございます! (2月28日 15時) (レス) id: e05c80d031 (このIDを非表示/違反報告)
陽炎 - リクエストに答えて頂いてありがとうございました!! (2月28日 15時) (レス) @page19 id: e05c80d031 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Akira_s2 | 作成日時:2024年1月13日 23時