リク 紳士なプリンス ジーク ページ16
ジークはずっとこの日に囚われている。
母である栞の結婚式の日だ。あちこち電王の危機に駆けつけることはあるが、存在を保つためにこの日を過ごすほかなかった。
だがしかし、彼に不満など一つもない。なぜなら…。
『ジーク、どうかな?こっちの方がいい?』
「愛しき人の子よ、わたしがいいと言うものを選ぶが良い。」
『じゃあこっちにするね。』
彼にはこの時間軸の特異点であるAという良き友人がいる。何度でも新しい今日に付き合ってくれるのだから、飽きることはなかった。今だって一緒にデパートを見て回っている。
Aはジークの選んだ白色のワンピースを着るために試着室に入っていく。
『ねぇねぇ、ジークはなにか服買うの?』
カーテンの内側から声だけが聞こえてくる。
「わたしはこの姿で完璧なのだ。余計な服などいらない。」
『そっかぁ…、じゃあ腕時計とか、サングラスはどう?』
「それも要らない。それよりほれ、早く着替えなさい、わたしを待たせるな。」
はーいとガッカリしたようにAは言うと、しばらくしてから試着室のカーテンを開けた。
白色の中に柔らかい光のような優しさがあり、襟元のレースがふわふわと立っている。まるでジークの羽のようだ。まさに明るくユーモアのあるAに良く似合う。
「やはりわたしの目に狂いは無い。A、さっさと買ってきなさい。」
よほど気に入ったのか、彼女は買ったばかりのワンピースを着て店を出た。両手に紙袋を持ち、着てきた服や先に買ったブーツなどを入れている。
『ねぇジーク。紳士は女の子の荷物を持ってあげるものなんだよ。』
「そうなのか、しかし私は王子だ。王子がものを持って歩くのは不自然ではないか?」
Aは深いため息をついた。わがままプリンスと付き合うとはこういうことだ。まあいいやと呆れたように笑って、今日はここまでと手を振る。
「もう帰るのか。私はまだ満足していないが。」
『でも私の買い物は終わったし、ジークも買いたいものがないんでしょ?腕疲れちゃったし…。』
Aが大袈裟に疲れたと全身を使って主張する。
「仕方ない。今回は特別に紳士としての行動をするとしよう。紙袋は持つからその代わりに、私が満足するまで付き合ってもらおう。」
ジークは紙袋と彼女の手を取り、また歩き出した。
−−−−−
end
リク きみに一番のドレスを ギラ・ハスティー→←リク ファッションセンス モモタロス
32人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Akira_s2(プロフ) - あめだまさん» リクエストありがとうございます!剣崎くん承知しました☺️更新までしばらくお待ちください (5月6日 21時) (レス) id: 4fceb90968 (このIDを非表示/違反報告)
あめだま(プロフ) - 初めまして!コメント失礼します!仮面ライダー剣の剣崎一真って可能でしょうか? (5月6日 17時) (レス) id: 4eb730f803 (このIDを非表示/違反報告)
Akira_s2(プロフ) - 陽炎さん» 読んで頂きありがとうございました! (3月4日 22時) (レス) id: 4fceb90968 (このIDを非表示/違反報告)
陽炎 - 本当に素晴らしいお話をありがとうございます! (2月28日 15時) (レス) id: e05c80d031 (このIDを非表示/違反報告)
陽炎 - リクエストに答えて頂いてありがとうございました!! (2月28日 15時) (レス) @page19 id: e05c80d031 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Akira_s2 | 作成日時:2024年1月13日 23時