本物の魔法使い 操真晴人 ページ2
『ほんと、最悪……。』
放課後、自転車に乗って川沿いを走っていたらなに？
サッカーボールが飛んできて、自転車は土手に転げ落ちて、私は水たまりに背中から落ちた。
どれだけ私を不幸にしたいの？
『やだもう、ケータイ…も落ちてったか。』
鞄は自転車に乗せたままで、しかも今日に限ってジッパーを開けっ放しにしていた。どうなったかなんて考えたくもない。
『絶望…、あーあ。』
制服が泥水でぐしゃぐしゃ。ボールの後がしっかり胸元についている。今日水曜日だよ、まだ学校あと二日あるよ。もう最悪だ。
「大丈夫？」
後ろから男の人の声がした。そんな心配された所でどうにもならない、こうなったらヤケだ、笑って吹き飛ばそう。明日のことも、これからの帰路も考えるのやーめた！
『あっはははは！気にしないでください！！今日とことんツイてないだけですから！！』
右の口を上げて笑いながらその声の方向を見上げた。でもその男の人は何かを考える素振りをしながら真顔でこちらを見つめた。ほんの少し気まずい。
「よし、俺が最後の希望になってやるよ。」
『えっ…？』
するとその人は何やら指輪を取りだした。全く意味がわからない。
『えっ、えっ…？』
目の前に広がる光景は現実なのだろうか。赤色の魔法陣が私に向かって迫ってくる。なにこれ、どういうこと？！
「ほいっ、俺からのプレゼント。」
その魔法陣が、私を暖かい風に包みながら通り抜けていく。プレゼントと言って着せ替えられたのはなんと、ワンピースだった。
深い紅の落ち着いた色味で、膝丈まであり、所々は黒色のレースが散りばめられている。
「うん、やっぱり似合ってる。」
その男の人は笑顔になって私に言った。そう、かな？正直興味はあった。こういうフリフリした可愛い服を着てみたかった。でも勇気が出なくて。
『…ありがとうございました。』
本当にいたんだ、魔法使い。まるでシンデレラになったような気分だ。
「良かった、またいつでも俺を頼って。じゃ。」
彼はスタスタと歩いていく。
……でも待って、何か忘れてる気がする。
『私の制服どこ行ったーーー！！てか魔法使えるなら私のケータイ探して！自転車直して！』
いつでも頼っていいって言ったじゃん。それが今だよ、本当に。私はこの大声を聞いて振り返った名前も知らない魔法使いに向かって、笑顔で走り出した。
−−−−−
end
赤いマフラー 一文字隼人(シン)→←マゼンタに囚われる 門矢士
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Akira_s2(プロフ) - あめだまさん» リクエストありがとうございます！剣崎くん承知しました☺️更新までしばらくお待ちください (5月6日 21時) (
レス) id: 4fceb90968 (このIDを非表示/違反報告)
あめだま(プロフ) - 初めまして！コメント失礼します！仮面ライダー剣の剣崎一真って可能でしょうか？ (5月6日 17時) (レス) id: 4eb730f803 (このIDを非表示/違反報告)
Akira_s2(プロフ) - 陽炎さん» 読んで頂きありがとうございました！ (3月4日 22時) (レス) id: 4fceb90968 (このIDを非表示/違反報告)
陽炎 - 本当に素晴らしいお話をありがとうございます！ (2月28日 15時) (レス) id: e05c80d031 (このIDを非表示/違反報告)
陽炎 - リクエストに答えて頂いてありがとうございました！！ (2月28日 15時) (レス) @page19 id: e05c80d031 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Akira_s2 | 作成日時：2024年1月13日 23時
