幻想の刀剣と洋食 ページ22
この本丸の食事は基本和食である。
そう決めたわけではないが初期に顕現した歌仙兼定が和食にはまってからというものの、めっきり洋食を食べることがなくなってしまった。
和食に不満はない。毎日おいしい食事を作ってもらっているのだから文句はない。
ただ…
「(無性に洋食が食べたくなる…)」
審神者はため息をついて文机に突っ伏した。
自分で作れればいいのだが審神者は厨を仕切っている燭台切光忠、歌仙兼定、薬研藤四郎によって厨出入り禁止になっているのだ。
つまり料理の腕は…お察しである。
「…洋食が食べたい」
「…？」
思わず出た呟きを執務を手伝ってくれている十六夜が拾ったのか審神者を見て首を傾げた。
あぁ、今日もうちの子が可愛い。
「(じゃなっくって…！)え、っと…ごめん。食事を作ってもらっておいて…こんなことを言う資格なんてないのはわかってるの」
「…」
十六夜は審神者を見つめて黙っている。
何も言わない十六夜に審神者は不安に襲われるが、
“十六夜が黙っているときは言葉を探しているときだ、何か言いたそうだったら言うまで待っててやってくれ”
最近よく一緒にいるらしい鶴丸国永にそう助言されたのを思い出し十六夜の言葉を待った。
「…作れますよ」
「え、？」
「…洋食」
――…
そろそろ夕餉を作ろうと燭台切が厨にやってくるとその扉に一枚の張り紙が貼ってあった。
“厨出入り禁止”
この本丸の主である審神者の字で書かれ、その隣には丁寧に結界の札まで貼ってある。
「…えっと、これは」
「どうしたんだい、燭台切」
「あぁ、歌仙くん。これ…」
後ろからやってきた歌仙は扉に貼ってあるものを見て表情をしかめた。
「なんだい、これは…雅じゃない」
歌仙はそう言って扉に触れてみる。…扉ではない壁のようなものがある。
「結界が張ってあるってことは、中にいるのは主みたいだけど…まさか」
顔色を青くした燭台切に歌仙は同じことを考えついたのか同じく顔を青くした。
――まさか、主が料理を作ってるのか…！？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 95人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
凛音 - 続きがめっちゃ気になります！頑張ってください！ (12月30日 11時) (
レス) @page26 id: 0943923905 (このIDを非表示/違反報告)
凛音 - これで終わりなのが寂しいです。 (9月22日 0時) (レス) @page25 id: 0943923905 (このIDを非表示/違反報告)
ハイキュー大好き！！(プロフ) - 続きがとても気になります！更新頑張ってください！！ (2021年2月9日 19時) (レス) id: 2d39102061 (このIDを非表示/違反報告)
乱 - 咲夜の奴ですね………とても面白いです！更新頑張ってください！ (2021年1月1日 3時) (レス) id: 0830061a27 (このIDを非表示/違反報告)
Qたん - 更新、頑張ってください！！！！！！！！ ( ´∀｀)bｸﾞｯ! (2018年12月17日 0時) (レス) id: 1e4cd3bd39 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柚子ポン酢 | 作成日時：2015年9月15日 19時
