2 大切な名前 ページ21
十六夜は1人で縁側に腰をかけ、ぼんやりと桜を眺めていた。
いつもならそこに鶴丸や三日月、髭切や膝丸がやってくるのだが、
「…十六夜、隣いいかい」
やってきたのは一期一振であった。
十六夜は一期を一瞥するだけで表情を変えることなくまた桜に目を向ける。
「ここには慣れたかな」
「…」
十六夜は何も言わない。
「何か困ったことがあったら、遠慮なく言ってくれ」
「………まるで、弟妹へ対する言葉ですな」
「当たり前だよ。周りが何と言おうが、お前は私の妹だ」
「…、」
一期がそういうと十六夜はようやく一期と向き合った。
無表情に見える、しかしその瞳は…
ーー深い悲しみに染まっていた。
「え、」
「…私のことはお気になさらず、ご自分の兄弟に気を使ってあげて下さいーー 一期一振殿」
十六夜はそう言うと一期に一礼してその場を去っていく。
その背中を追おうとした一期だが、
「今のお前に、あれを追う資格はないぞ。一期一振」
三日月宗近が止めた。
「何故です…！」
「…お前を責めるのもお門違いなのはわかっておる、だが…」
無知はあれを傷つけるだけだ。と三日月は悲しげに言う。
「……何も言うな、何も知るな。そのまま終えた方が、互いのためだ」
「貴方は何を知っているのです。十六夜のことを知っているなら教えて下さい」
「知って、どうする？お前の、お前たちの中から俺たちは消えてしまった。知ったところで虚しさがあるだけだ」
悲しいな、お前たちと見た景色は…幻に消えてしまったのだから。
「…それでも、私は思い出したい」
心に引っかかるものの正体を知りたい、十六夜の笑顔が見たい。
「そう、思うことも…ままなりませんか」
「…」
三日月は一期をじっと見据えるとフ、と微笑んだ。
「…そうさなぁ…あれの名前を、親につけられた本当の名前を見つけてやればいい」
彼奴にとってはもう失われてしまった、しかし大切な名前だ。
「…呼んでやれ、お前の声で」
(十六夜、いやーー…俺はもう一度あの時のように共に縁側で茶がしたいぞ)
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凛音 - 続きがめっちゃ気になります！頑張ってください！ (12月30日 11時) (
レス) @page26 id: 0943923905 (このIDを非表示/違反報告)
凛音 - これで終わりなのが寂しいです。 (9月22日 0時) (レス) @page25 id: 0943923905 (このIDを非表示/違反報告)
ハイキュー大好き！！(プロフ) - 続きがとても気になります！更新頑張ってください！！ (2021年2月9日 19時) (レス) id: 2d39102061 (このIDを非表示/違反報告)
乱 - 咲夜の奴ですね………とても面白いです！更新頑張ってください！ (2021年1月1日 3時) (レス) id: 0830061a27 (このIDを非表示/違反報告)
Qたん - 更新、頑張ってください！！！！！！！！ ( ´∀｀)bｸﾞｯ! (2018年12月17日 0時) (レス) id: 1e4cd3bd39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚子ポン酢 | 作成日時：2015年9月15日 19時
