波乱万丈 (ページ10)

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10 アイスが落ちたページ10

先輩のくせに一人で帰れないなんて笑われちゃうかな、なんて思って顔をあげた。

京極「ええんすか？」

少しだけ嬉しそうな顔をしてくれたのが嬉しくて、私も思わず微笑んだ。

京極「Aさんは一人の時間のほうが好きかと思ってたんで。」

それは間違いじゃない。

『風斗くんには全部バレバレだね。でも、』

でも。これは言うべきなのか。
この関係が万が一崩れてしまったら？
そもそもこの感情が気のせいだったら？

『でも、ほら。楽しかったからさ』

また勇気を出せなかった。

京極「それはよかったです。ほな、行きましょうか」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『あっ！あーっ……。』

やってしまった。

京極「ふははっ！はははははっwww」

『ちょっと…笑いすぎ〜…！』

私の大事なアイスが溶けて落ちた…。
結構なショックなのに、風斗くんが笑ってるとそれすらいいような気がしてくる。

なんだか私もツボにハマってしまって、二人でしばらく笑いあった。二人の家の丁度あいだくらいの公園で。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

京極「家、ここですか？」

『…うん。』

京極「それじゃ、また明日。」

『今日はありがとう。次はうちにきて！中野くんとかも呼んでさ、みんなゲームしようよ』

京極「いいっすね、いつでも行きますよ。家覚えましたから。」

『私も風斗くんち、覚えたよ。絶対忘れない』

風斗くんの敬語がだんだんと崩れていっている。
私達はきっと、今までとはまた違う対等な立場に近づいていっているのだと思う。