波乱万丈 (ページ11)

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11 中野くんへページ11

中野「Aさ〜ん。隣失礼しますね！」

最近、中野くんを始めとして他の後輩たちも前より近寄ってきてくれる。
敬語外し大作戦は成功だったのかもしれない。

『中野くんなにしてるの？』

中野「京極さんとくるまの動画見てました。このチャンネル知ってます？二人が飯食いながら喋ってるチャンネルなんですけど。」

私としたことが…後輩のチャンネルはちゃんと全部把握してるつもりだったのに、知らなかった。

『え、知らなかった！一緒に見てもいい？』

中野「もちろんです」

これは結構いいかもしれない。
私はもともと人がご飯を食べてるところが好きだし、変につくった感じもないこの自然な雰囲気もとてもいい。
あ、風斗くん今こぼしたな？

中野「…Aさんはやっぱり京極さんが好きなんですね」

『え、なんて？』

ずっと気づかないふりしてた感情。
人から言われるなんて思ってもいなかった。

中野「僕にもチャンスあると思ったんだけどなあ」

なんでそんな悲しそうな顔…

『チャンス？なんの…？』

中野「あのね、Aさん。あなたって結構な人たらしなんですよ？」

『ひ、人たらし！？どこが！？』

中野「それが普通と思ってるんでしょうけど、普段からあんなに優しくされたらみんなAさんのこと気になっちゃうんです」

『…そうなの？』

初耳だ。でも、嫌われるよりかは全然悪い気は…

中野「ただでさえそうなのに、その中で一番あなたにかわいがられた僕の気持ちを考えてみてくださいよ。」

違う、私がいいとか悪いとかじゃないんだ。
私は一人の人間を傷つけてしまったんだ。
可愛くて大事な後輩の中野くんを。

『ごめんなさい…本当に』

中野「ちょっと！そんな顔しないでください！もう諦めはついてるんで、そこまで暗い話にしたくないです。悲しくなっちゃいます」

つい、私も泣きそうになる。
傷つけた側なのに、泣くなんて絶対ダメだ。

ヤス「よく言ったな、なかるてぃん。そういうことなんで、姐さんも早く気持ちは伝えたほうがいいですよ」

そうだ。中野くんはきっと勇気出してこの話をしてくれたのに、私が勇気出して進まなくてどうする。
中野くんにも申し訳ないことだ。