No.5 ページ6
………
一方、我妻善逸は＿
「頼む頼む頼む！！！俺とけっこんじでぐれ"よ"お"お"お"！！！！」
自暴自棄にAとは別の女性に求婚を迫っていた。
涙やら鼻水やら湧き出ていて、顔がぐちょぐちょになっている。何とも情けない。
口説かれた女性は抵抗するも、善逸のあまりの圧に身をたじろぐ。
たまたま近くにいた鬼殺隊と思われる少年も、幻滅した顔でその現場を見つめた。
「こら！！やめないか」
女性に一方的に抱きついていた善逸は、炭治郎に引き離される。
「あ、あれ…お前、最終選別の時の……」
「お前のようなやつは知人に存在しない！！」
ときっぱりと否定され、善逸はまた大声で泣き喚く。
「えええ！！！？会っただろうが！会っただろうがあ！？お前の問題だよ記憶力のさああ！！」
…………
「食うか？これ」
「ありがとう…」
善逸がとぼとぼ元気を失ったように歩いていると、炭治郎がおにぎりを一つ渡してくれる。
おにぎりを受け取り、善逸は炭治郎が背負っている木箱を見つめた。
「(…あの箱、鬼がいる…)」
人一倍耳がいい善逸はすぐにそれを気づく。
炭治郎は気づかないまま鬼を連れているのだろうか。いや、気づいているはずだ。鬼殺隊なら尚更。
もし知っていて尚なら、それは。
「(…すごいな、俺と違って逃げずに一緒にいるって)」
箱の中にいる鬼は。
そこらの鬼とは違う、ひどく優しい音がして。
《『善逸くん』》
その音はAを思い出させた。
柔らかく笑う、彼女の姿を思い浮かべる。
彼女が鬼だって、何か自分に隠していたことがあったって、嫌いになんてなるわけないのに。
どうしてあの時自分は＿
不覚にも涙が零れてしまいそうになり、必死に抑える。
「どうした、善逸？大丈夫か？」
何かを感じとったのか、炭治郎が優しく尋ねた。
「…大丈夫なわけねえだろうがああ！！俺の婚約を邪魔しやがって！！！！
おにぎり半分イリマスカ！！！」
「わあっ、ありがとう！！」
…言えない。善逸は誰にも言えなかった。
ずっとこの気持ちを誰にも打ち明けることなく、誤魔化し続けていた。
✲✲✲✲
記憶力の差だってずっと勘違いしてました…恥ずかしい限りです……
ご指摘ありがとうございましたー！！！
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黒月薔薇(プロフ) - もう、好き この一言しか出てこない 雰囲気壊すかもしれないけど、no.5の記憶力の差の差ってもしかしたらひらがなのさだったりしますかね 違ったらすみません 2人が幸せになることを祈ってます 更新頑張ったください (2020年11月8日 16時) (
レス) id: bf38792454 (このIDを非表示/違反報告)
キキ - うぅ涙が出てきました結月さんハンカチどうぞつ□ (2020年4月2日 20時) (レス) id: 62b0e1eed4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆら - 好き… (2020年3月27日 18時) (レス) id: ad9a4e05e9 (このIDを非表示/違反報告)
白蕀姫 - 超シリアスで、面白いです！更新頑張ってください！ (2020年3月18日 21時) (レス) id: d5d3062330 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ ルナ(プロフ) - し、しのぶさん！！カッコイイ！！！美しい！！ 心にしみる作品ですね！続き楽しみにしてます♪ (2020年3月12日 17時) (レス) id: 65c9fb08c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2020年2月17日 18時
