No.26 ページ29
『(…来る)』
その方向から女の剣士がこちらに襲いかかってくるのが分かった。
気づいた途端、女は素早く剣を抜いたので、懐から簪を取り出して小刀に変形させる。
剣の振り下ろしと同時に簪の針で強く弾いた。
「あら？」
女は笑顔を浮かべたまま回転しながら衝撃を受け流し、少し離れた所に着地した。
藤の花の"色"を身に纏い、蝶のような羽織を着た、小柄で綺麗な女。
にこやかに笑っているが、感情が全く読み取れない。
まるで童磨みたいだ。
「すぐ気づいてしまうとは＿困りましたね。お嬢さん、かなり人間を食ってますね？」
『…』
「何人食べましたか？」
『…まだ、人間は食べたことがない』
Aがそう言ったことに、女は少し驚いた素振りを見せた。
「あら、50人くらいは食べていると思いましたが。
納得いきませんが、まあいいでしょう。あなたはあの鬼の家族とは全く容姿が違いますから、関連がないということで」
しかし女の言葉には棘がついていた。
どうせ殺すから問題ないと言いたげな声色にAは怪訝な顔をした。
「まあ、そんなことはどうでもいいんですよ。本題はここからであって」
女は綺麗に微笑んだ。
「可愛いお嬢さん。うちの鬼殺隊員に一体何の用ですか？」
Aは無言を貫く。この人に善逸との関係性を話す必要がなかった。
寧ろ、話せば善逸は鬼と接した反逆者として処罰を受けてしまうかもしれない。
「もしかして人を食ってないとか言いながら、食べようとしていたのでは？」
黙り込むAに埒が明かないと思ったのか、女が剣を振るってきた。
Aは簪で一つ一つの攻撃を防ぐ。
女の動きは、とても早い。
先ほど受けた花札の少年の動きよりも磨き抜かれていた剣術だ。
その代わり、力がとても弱かった。
小柄なのだから無理はない。
「何とか仰ったらどうですか？
襲いかからない、反撃もしない。一体あなたは何がしたいんです？」
『…どうせ、正直に聞いてくれないんでしょう？』
笑顔を浮かべている割に目には慈悲がないこの人は、きっと鬼への憎しみが強いのだろう。
「そうですね。聞く必要がありませんからね。もう会話は不要ですね。仲良くするのは無理なようですし。
蟲の呼吸 蝶ノ舞＿＿戯れ」
蝶が一斉に舞い、目にも止まらぬ速さでAの元を通り過ぎていく。
『…ぐ……』
Aは女の攻撃を完全にかわしきれなかった。
Aの白い着物が数箇所斬られたことで赤い血が滲む。
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黒月薔薇(プロフ) - もう、好き この一言しか出てこない 雰囲気壊すかもしれないけど、no.5の記憶力の差の差ってもしかしたらひらがなのさだったりしますかね 違ったらすみません 2人が幸せになることを祈ってます 更新頑張ったください (2020年11月8日 16時) (
レス) id: bf38792454 (このIDを非表示/違反報告)
キキ - うぅ涙が出てきました結月さんハンカチどうぞつ□ (2020年4月2日 20時) (レス) id: 62b0e1eed4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆら - 好き… (2020年3月27日 18時) (レス) id: ad9a4e05e9 (このIDを非表示/違反報告)
白蕀姫 - 超シリアスで、面白いです！更新頑張ってください！ (2020年3月18日 21時) (レス) id: d5d3062330 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ ルナ(プロフ) - し、しのぶさん！！カッコイイ！！！美しい！！ 心にしみる作品ですね！続き楽しみにしてます♪ (2020年3月12日 17時) (レス) id: 65c9fb08c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2020年2月17日 18時
