【d!】あどけない君をうつくしむ【中編集】 (ページ29)

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ht「A、ンなところで蹲ってなにしてんの」

『ぁ、ひとらん...』

午前2時、玄関で蹲ってたら

目の前の扉の鍵が開いて

私がずっと聞きたかった声が聞こえた

その声の持ち主は玄関に入って鍵を閉めて私の前にしゃがみ込んだ

綺麗な黒色と目が合う

さっきのタバコの匂いがする

ht「寄り戻したいっていうから帰ってきたわけなんだけど」

『...うん、』

ht「なぁ、本当にいいの？俺で」

なんとも思ってなさそうな声してそんなことを言うひとらん

...いや、前より少し丸いかも

角が取れたような喋り方と声してる

なんとなく、それが気になる

だけど、私は、

遠慮なくひとらんに頷いた

ht「そう。なら別にいいんだけど。」

『...』

ht「リビング行かない？こんなとこじゃ体崩すだろ」

『うん、』

ひとらんに連れられて

私はリビングに戻る

リビングに入ったひとらんは一瞬止まってそして笑った

ht「なにこれ、振ったのお前なのに未練タラタラだったんじゃん、タバコまで吸っちゃってさ」

あ、ひとらんだ

私は直感でそう感じる

いつもみたいに口悪い、私のことお前って言ってる

お前って言ってるけど別に嫌なん感じの呼び方とかじゃなくて

途端に寂しかったって気持ちが溢れ出して

私はひとらんに抱きついた

ひとらんはよろけながらも私を受け止めてそして困ったように笑った

ht「...俺の代わりなんて探せばいくらでもいただろ」

ほら、Aモテるんだし

なんて付け足される

そんな代わりなんかよりも、私はひとらんが良かった

胸を張ってそう言える

『やっぱり私、ひとらんじゃないとダメだった、やだったの』

ht「なにそれ、」

『寂しくて、遣る瀬無くて、だから、ひとらんの物も捨てれなかったし、残り香の延長でタバコまで吸っちゃって、それで、』

まだまだ言葉を紡ごうとする私を見て

ひとらんは一つキスを落とした

ht「ほんとごめん、」

『...え、？』

ht「浮気して、ごめん。...あの時、ちゃんと謝れば良かったって俺ずっと後悔してて」

ひとらんから謝罪が出てくるなんて思ってもなかったものだからびっくりして

顔を上げるとひとらんは泣きそうな顔をしていた

『...泣いてる、？』

ht「ばか、泣いてねぇよ、」

顔を見させないように私の目を手で覆うひとらんが

前と全く変わってなくて

私は嬉しくって笑った

ちなみに

この後からひとらんが私に一途になってくれたのは

また別の話ね